事業計画書に書くべき4つの内容(自己紹介、現状分析、実施内容、各種計画)。今回は、3つ目の「実施内容」です。自己紹介、現状分析とやってきて、いよいよここから「これから実施したい具体的な取り組み」について書いていきます。
事業計画での取組テーマを決めよう
前回までの自己紹介と現状分析を行うことで、「これから私たちはどうしていきたいか」について、見えてくると思います。例えば、「売上をもっと増やしたい」と思ったとしても、
- 来店するお客様の数を増やすのか
- それは、新しいお客様なのか、リピートのお客様なのか
- メニュー単品の値上げをするのか
- デザートなどを追加して+100円増やすのか(≒顧客単価を増やす)
など様々なアイデアが考えられます。
一方で、使える時間やお金、資源といったものには制約があるため、アイデアの全てを実現させることはできません。一番売上や利益に貢献しそうなテーマは何か。優先順位の高いものを選ぶようにしましょう。
「誰に」=自分のお店に来て欲しいお客様 を具体的にイメージしてみよう
テーマが決まったら、次は「誰に対して」行うかについて考えてみましょう。
「とにかくガツガツ食べたい」と、「少しずつでいいからバランスよい食事をしたい」という方では、当然欲しいメニューは違います。「様々なお客様に、気軽に来て欲しい」と考えるもよいですが、小さな飲食店では提供できるメニューにも限界があり、大手チェーン店のように対応することはできません。
自分のお店の常連客にはどのような特徴があるのか。年齢や性別、職種や世帯年収、食の好みなど、「お客様のことを、もっと詳しく知る」ことを考え、その特徴を書き出してみましょう。
「何を」=そのお客様に自分のお店が提供できるものは何か 考えてみよう
誰に対して行うかを決めたら、その人に「何を提供する」か考えてみましょう。最近は「モノからコトへ」と言われるように、「その商品を受け取ることで、お客様にどのような価値が生まれるか」というところまで考えることが重要です。
例えば、高級店であれば「年に1回の家族の特別な日を過ごせる場所」として、栄養価を意識した定食屋であれば「毎日の栄養バランスの取れた食事が提供できる場所」といった形でお客様が来店する理由を考えます。
考え方としては、
- 1. どんな場面で
- 2. ○○がしたい、したくないから
- 3. △△になるとよい
という3つの問題に答える形で考えてみてください。
「朝急いでいる時」に「健康は意識しているけれど、バランスよく朝食を用意している時間がない」から、「手に取って食べるだけの手軽な食べ物なのに、朝に取るべき栄養バランスがばっちり取れていとよい」。だから○○食堂の朝食を食べよう、と「お客様の視点」で考えてみることがポイントです。
「どのように」=提供する商品を決めどうやってお店まで来てもらうか 考えてみよう
「誰に」「何を」を決めたら
- 1. どのような商品を
- 2. いくらで提供するか
商品メニューを考えてみましょう。その際、レシピも作ると原価計算もできるようになります。
また、
- 3. どこで販売するのか
- 4. どのようにその情報を伝えるのか
についても考えます。
せっかく作った新メニューも、知られなければ作った甲斐がありません。商品を販売する場所も、多くは「自分のお店」かもしれませんが、「オフィスビルでお弁当として売ろう」とか「キッチンカーで色々なイベントを廻ろう」とか、今は自分のお店以外にも色々な場所で販売できるチャンスは増えています。
また、情報発信も店舗前の看板もあれば、チラシを作成して駅前で配ったり、ポスティングをしたりといったことから、SNSを活用して情報を発信する、飲食店サイトに登録するなど、様々な知ってもらうための方法があります。
この実施内容をどれだけ具体的に書けるかで、事業計画書の説得力が大きく変わります。最初からうまくまとめることができなくても問題ありません。まずは「誰に」「何を」「どのように」という3つの問いに対して、自分なりの考えを言語化してみることから始めましょう。頭の中で漠然と思っていたものを明確に言葉にすることで、他人にも伝わりやすく、具体的な行動にもつながっていきます。
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