コラム

【不動産豆知識⑫】賃貸契約における権利金と保証金の違いを知っている? 理解しておくべきポイントを紹介②


店舗を開業する上で欠かせないのがテナントの確保であり、不動産に関する知識。この連載では、不動産業界で長く活躍するSAWASANが基本知識を紹介する。

■多岐にわたるトラブル

 前回から権利金と保証金を解説しています。定義は以下のようになります。
権利金:賃貸物件の借り手が貸し手に支払う一時金で、契約権を得るための対価
保証金:賃貸物件の借り手が賃貸契約の履行を保証するために支払う金銭で、契約終了後に返還されることが一般的 

 実は、賃貸契約の権利金や保証金に関するトラブルは多岐にわたります。賃貸契約に関連する権利金や保証金での裁判事例について紹介していきますので、理解を深めるために役立ててください。ただし、実際の裁判例は地域や法律によって異なるため、一般的な事例として理解してください。

1. 権利金の返還請求訴訟
借り手が権利金を支払ったあと、貸主が契約を一方的に解除した場合、借り手が権利金の返還を求めて裁判を起こした。

2. 保証金の不当な減額訴訟
賃貸契約終了後、貸主が保証金の一部を不当に減額し返還したため、借り手が返還額の全額を要求する訴訟を起こした。

3. 契約違反に関する訴訟
借り手が賃貸物件の損傷を理由に保証金の返還を求めたが、貸主が修理費用を請求。裁判で双方が損傷の程度を巡り争った。

4. 保証金の返還遅延訴訟
契約終了後、保証金の返還が遅れたため、借り手が貸主を相手取って返還を求める裁判を行った。

5. 権利金の不当請求訴訟
新規の賃貸契約において、貸主が権利金を不当に高額に設定したことに対し、借り手が裁判を提起。

6. 保証金に関する明示的な契約条項の解釈
保証金に関する契約条項が不明確であったため、借り手と貸主がその解釈を巡って争い、裁判に至った。

7. 権利金の譲渡に関する訴訟
借り手が権利金を他の人に譲渡しようとしたことに対し、貸主が反対し、権利金の譲渡の有効性が裁判で争われた。

8. 保証金の不当な転用訴訟
貸主が保証金を賃貸物件の改修費用に転用したことに対し、借り手が返還を求めて訴訟を起こした。

9. 賃貸物件の不具合に関する訴訟
借り手が賃貸物件の不具合を理由に契約を解除し、権利金や保証金の返還を求めたところ、貸主がこの解除を認めず、法廷で争った。

10. 承継人に関する訴訟
借り手が権利金や保証金を譲渡した後、その承継人が借り手に代わって返還請求を行い、法的な権利が認められるかどうかが争われた。

 先ほども触れましたが、具体的な事例は地域ごとの法制度や実際の裁判記録によるため、法律の専門家に相談することが重要になります。

◆著者の取得資格◆
国土交通大臣、登録証明事業(3)第28034号、不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、宅地建物取引士(埼玉)第045713号、FPファイナンシャルプランナー第30220347号、賃貸不動産経営管理士(2)第020666号


※SAWASANの連載11回目コラムは以下より

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