コラム

15.マーケティングについて学ぼうー中小企業診断士が語る、店舗事業者が知っておくべき基礎知識

前回のコラムの最後に「仮に立てた数値計画とマーケティング計画をつなげて考えよう」とお伝えしました。事業計画を具体的に考えていく上で、数値計画はもちろんのこと、マーケティング計画についても、きちんと考えながら具体的な施策を進めていくことも大切です。今回からはこの「マーケティング」についての考え方などをお伝えしていこうと思います。

「マーケティング」という言葉を使う時は要注意!

世の中でも広く使われている「マーケティング」という言葉。皆さんもニュースやネットで見聞きしたり、ご自身で使われることもあると思います。しかし、この言葉には多くの意味合いが含まれているため、使う時には少し注意が必要です。

例えば、「私、マーケティングの仕事をしているんですよ」なんてお話される方がいたら、その「マーケティング」という言葉が何を意味しているのか、詳しく聞いてみましょう。ある人は、「市場調査=マーケティング・リサーチ」を、別の人は「SNSの運用=プロモーション(販売促進)のいち手段」をしていたりします。これ、誰も間違ってはいないのですが、マーケティング活動のある部分だけを指していることが多いんです。

マーケティングとは「売れる仕組みづくり」

専門的な言葉の定義は別にありますが、私がセミナーをする際には、「売れる仕組みづくり」という意味でマーケティングについてのお話を始めます。上に書いたマーケティング・リサーチやSNS運用といったプロモーションも、この「売れる仕組みづくり」のいち部分を担っている、ということですね。この言葉のポイントは2つです。

「売る」ではなく「売れる」

これは売り手である飲食店側からの視点ではなく、買い手であるお客様側からの視点で考えようということです。どんな事業でも多くのライバルが存在します。世の中に商品やサービスがあふれている現代において、「お客様がわざわざ自分のお店に来て、お金を払って食事をしてくれる理由は何か」を考えてみることがとても大切になります。

自分のお店の売れ行きが悪かった時に、売り手視点で「どうしてこの良い商品が売れないんだ」と考えるか、買い手視点に立ち「どうすればお客様にとって買いやすい商品になるのだろう?」と考えるのか。どちらの考え方が、今後の事業成長につながるか、考えていただくとわかりやすいかと思います。

「個人技」ではなく「仕組み」

世の中には、商品やサービスを販売することが得意な人もいれば、苦手な人もいます。得意な人だとあまり深く考えなくても、どんどんと売上を増やしていく、なんてこともできてしまいますが、そのやり方だと、他の方がマネをすることが難しかったりします。

マーケティングでは、そうした個人技ではなく、仕組みをつくることで安定的に売上を増やしていくことを目指します。もちろん「これをやれば必ずうまくいく」という魔法の仕組みではありませんが、良い仕組みをつくることができれば、あとはその仕組みを横展開していくことで、事業を大きくしやすくなります。飲食関係でわかりやすい「仕組み」の例といえばフランチャイズ展開のお店を想像してもらえるといいですね。

今回はマーケティング計画を立てる上で、「マーケティング=売れる仕組みづくり」という意味で考えてみることをお伝えしました。次回は、マーケティング計画における基本戦略(誰に×何を)について、お伝えしていこうと思います。

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中小企業診断士

株式会社ワークライフスポーツ 代表取締役 稲垣秀行 事業者の方が「強く、やさしく、おもしろい」お仕事ができるよう、頭の中の整理から、事業計画の作成、その後のフォローまで伴走型でサポート。市役所の窓口相談では年間150者ほどの方からの経営相談を受けている。スポーツによる街の活性化がライフワーク。

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