コラム

【不動産豆知識⑭】賃貸契約における権利金と保証金の違いを知っている? 理解しておくべきポイントを紹介④


店舗を開業する上で欠かせないのがテナントの確保であり、不動産に関する知識。この連載では、不動産業界で長く活躍するSAWASANが基本知識を紹介する。

■保証金の不当な減額に関する訴訟

 連載⑪から権利金と保証金を解説しています。定義は以下のようになります。
権利金:賃貸物件の借り手が貸し手に支払う一時金で、契約権を得るための対価
保証金:賃貸物件の借り手が賃貸契約の履行を保証するために支払う金銭で、契約終了後に返還されることが一般的

 さて、今回は保証金の減額をテーマに話を進めますが、保証金の不当な減額に関する訴訟は、法律的な解釈や具体的な事実関係によって結果が異なることがあります。一般的に考慮されるべき要素や判例の傾向について列挙します。

1.保証金の契約内容
 契約における保証金の取り決めが明記されているか確認しましょう。変更があった場合の手続きや条件が重要な要素となります。
2.不当利得の考慮
 保証金が不当に減額された場合、不当利得に関する原則(注①)が適用されることがあります。あらかじめ、契約に減額理由を明記することも大切かもしれません。
注釈①:不当利得に関する原則は、民法703条に規定されており、「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う」とされています。この原則は、法的な根拠なく他者の利益を得ることを是正し、財産関係における公平性を保つことを目的としています。
3.契約上の義務違反
 契約者が契約上の義務を果たしていない場合、保証金が減額されることがあるため、その理由が正当かどうかが争点となります。
4.判例における過失
 ケースによっては、保証金の減額が過失によるものであるか、契約者による故意の行為かが問題となります。
5.訴訟の結果による影響
 過去の判例では、保証金の減額が不当であると判断された場合、元の金額に戻されることがあります。
6.賃貸契約と保証金
 賃貸契約における保証金の取り決めとその減額に関する判例も関連が深いです。


7.経済的損失の評価
 保証金の減額による経済的損失がどのように評価されるかが訴訟の焦点となります。
8.競業避止義務の関連
 競業避止義務に違反した場合の保証金の減額についても判例があります。
9.賃料の改定との関連
 賃貸借契約において、賃料改定時の保証金の見直しに関する事例が影響します。
10.契約不履行と保証金
 契約不履行があった場合、その影響で保証金が減額されるべきかの判断が重要です。

 これらの要素を考慮に入れながら、解決策や法的アドバイスを求めるのが望ましいでしょう。

◆著者の取得資格◆
国土交通大臣、登録証明事業(4)第28034号、不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、宅地建物取引士(埼玉)第045713号、FPファイナンシャルプランナー第30220347号、賃貸不動産経営管理士(3)第020666号


※SAWASANの連載13回目コラムは以下より

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