コラム

13.補助金の審査の観点を深堀りするー中小企業診断士が語る、店舗事業者が知っておくべき基礎知識

前回ご紹介した小規模事業者持続化補助金の最新回(第17回受付)について、さらに深掘りしてみようと思います。「第3回:事業計画書が融資や補助金申請で必要な理由」の中で「審査員の立場で考えてみる」ということを書きましたが、この審査員の着目点を見ることができる場所、それが公募要領にある「審査の観点」となりますので、詳しくみていきましょう。

審査の観点は「Ⅰ.基礎審査」「Ⅱ.計画審査」「Ⅲ.加点審査」の大きく3つに分かれます

「審査の観点」には3つの観点が書かれています。「Ⅰ.基礎審査」が応募するための最低条件、「Ⅱ.計画審査」が計画内容を審査する中心項目、「Ⅲ.加点審査」は記載の条件を満たしているとプラス評価されるものです。

計画書を作成するという意味では「Ⅱ.計画審査」が一番大切になりますが、「Ⅲ.加点審査」は満たしていればそれだけでプラスになるので、これから準備できるものがあれば、しっかり対応しておくとよいでしょう。

「Ⅱ.計画審査」の4つの項目を押さえて計画書を書いてみよう

「Ⅱ.計画審査」では、4つの観点で審査が行われますが、それぞれの観点を、過去のコラムで書いてきた内容に当てはめてみると次のようになります。書く内容のポイントはそれぞれのコラムを参考にしてみてください。各回に書いた内容についての納得度も高まると思います。

「Ⅲ.加点審査」も要チェック

最後に「Ⅲ.加点審査」です。こちらについて、何となく「オマケ」という印象があるかもしれませんが、逆を言えば条件を満たすだけで加点してくれるものですので、こちらも対応できそうなものがあれば確実に押さえておきましょう。

 今回(第17回)の小規模事業者持続化補助金には、加点項目として「重点政策加点」と「政策加点」の2種類あります。重点政策加点は4種類から1つ、政策加点は9種類から1つ選ぶ形になっています。

【重点政策加点】いずれか1種類

①赤字賃上げ加点、②事業環境変化加点、③東日本大震災加点、④くるみん・えるぼし加点

こちらの4つだと、②は「ウクライナ情勢や原油価格、LPガス価格等の高騰による影響を受けている事業者」が対象となっていますので、輸入の食材を利用していたり、光熱費の高騰していたりといった話は、飲食店の皆さんにも身近なテーマで加点をすることができるかもしれません。

【政策加点】いずれか1種類

①賃金引上げ加点、②地方創生型加点、③経営力向上計画加点
④事業承継加点、⑤過疎地域加点、⑥一般事業主行動計画策定加点
⑦後継者支援加点、⑧小規模事業者卒業加点、⑨事業継続力強化計画策定加点

こちらは重点政策加点よりも選びやすいと思います。①は申請時から補助事業終了時の間に事業場内最低賃金を+30円することを決めることで、②は地域資源を活用して地域外への販売を行ったり、地域内の需要喚起を目的とした取組等を行ったりすることで加点されます。

 補助金の採択を受けるためには、「計画内容をしっかり書く」ことが大前提です。その上で「採択に向けてできることは全てやっておく」そんな意識を持ち、今回お伝えした「審査の観点」を確実に押さえていくことで、少しでも採択される可能性を高めてみてください。

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中小企業診断士

株式会社ワークライフスポーツ 代表取締役 稲垣秀行 事業者の方が「強く、やさしく、おもしろい」お仕事ができるよう、頭の中の整理から、事業計画の作成、その後のフォローまで伴走型でサポート。市役所の窓口相談では年間150者ほどの方からの経営相談を受けている。スポーツによる街の活性化がライフワーク。

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