財務省は、2023年10月に開始された消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)に関し、事業者などから寄せられている質問、特に免税事業者やその取引先の対応に関する考え方をQ&A形式で紹介している。制度への理解を深めるために紹介する。
■簡易課税制度の概要
まずは、簡易課税制度の適用を受けられる事業者を解説したい。なお、簡易課税制度とは、中小事業者の納税事務負担に配慮する観点から、事業者の選択により、売上げに係る消費税額を基礎として仕入れに係る消費税額を算出することができる制度である。
簡易課税制度の適用を受けられる事業者は、前々年(個人)又は前々事業年度(法人)の課税売上高が 5,000 万円以下である事業者。令和2年のデータでは簡易課税制度の適用を受けているのは、課税事業者の約 35%の事業者、そのうち個人事業者である課税事業者については約 55%の事業者となっている。
(参考)令和2年度国税庁統計年報より
簡易課税適用者数 約 114 万者 / 課税事業者数 約 318 万者 = 約 35%
(うち個人事業者:約 64 万者 / 約 114 万者 = 約 55%)

■Q2:現在、自分は免税事業者ですが、インボイス制度の実施後も免税事業者であり続けた場合、必ず取引に影響が生じるのですか?
A:インボイス制度の実施後も、免税事業者の売上先が以下のどちらかに当てはまる場合は、取引への影響は生じないと考えられます。
免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A
① 売上先が消費者又は免税事業者である場合
消費者や免税事業者は仕入税額控除を行わないため、インボイスの保存を必要としないからです。
② 売上先の事業者が簡易課税制度を適用している場合
簡易課税制度を選択している事業者は、インボイスを保存しなくても仕入税額控除を行うことができるからです。
そのほか、非課税売上げに対応する仕入れについては仕入税額控除を行うことができませんので、例えば医療や介護など、消費税が非課税とされるサービス等を提供している事業者に対して、そのサービス等のために必要な物品を販売している場合なども、取引への影響は生じないと考えられます。
※引用:https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/download/duty_invoice_s01.pdf
※「中小企業診断士に聞こう企画」に関する記事は以下より
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