店舗の経営環境を苦しくする要因は少なくない。さまざまな物の上昇は最たるものだろう。今回は物価の上昇をフォーカスしつつ、ラーメン店の価格に関する調査を紹介する。
価格高騰という言葉を耳にするようになって久しい。例えば、食品の価格も上がり続けているし、価格据え置きだが量は減少というケースもある。『FOOD Barometerの2024年版』(エデンレッドグループが実施)という調査によると、日本のビジネスパーソンの約8割が、今後『食料品』が値上がりすると強く感じており、ランチの選択基準では44%を占めた立地と価格が1位となっている。
『株式会社帝国データバンク』の調査によると「ラーメン店倒産、前年から倍増ペース 過去最多を更新」となる。
ラーメン店の倒産ペースが加速している。2024年に発生した「ラーメン店」経営事業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は、7月までに49件発生した。前年(53件)からほぼ倍増、過去最多の2020年(54件)を上回るペースで、初の年間100件台に到達する可能性が出てきた。
「ラーメン店」倒産、前年から倍増ペース 過去最多を更新へ 原材料高騰が直撃、「ラーメン原価」は2年前から1割増の試算
ラーメン店に限ったことではないが、人手不足による人件費の高騰、そして電気代や原料費の高騰が経営を圧迫していると見られている。帝国データバンクが試算した『ラーメン原価(豚骨ベース、東京都区部)』では、2024年6月時点の指数は22年の平均と比較して113.5。わずか2年前で1割以上も上昇している。
特に、チャーシューや豚骨ガラで欠かせない豚肉や背脂は、枝肉ベースで前年比2割近く上昇した。麺や海苔、メンマなどの具材も不作や円安で価格が高騰するほか、スープにこだわる店では24時間加熱するケースも多く、光熱費の値上げによる負担も大きい。ただ、「味」を守るためにコストを下げることは難しく、原材料の値上げペースに耐え切れなくなった店や、値上げを実現してもその後客足が減少した店で、閉店や経営破綻を余儀なくされたケースは多いとみられる。
「ラーメン店」倒産、前年から倍増ペース 過去最多を更新へ 原材料高騰が直撃、「ラーメン原価」は2年前から1割増の試算
サッカーの元日本代表である本田圭佑氏がX(元Twitter)に「<ラーメン屋。あの美味さで730円は安すぎる。もうちょっと値上げするべき。ってか色んな業界がもう少し値上げするべき。高すぎるか安すぎるかの両極になり過ぎ。次ラーメン食うときは2000円支払います。必ず。>と投稿して話題になったが、ラーメンには「1000円の壁」なるものが存在するのも事実。1000円に近付きつつあるにしても、昼食としてラーメンに1000円以上を払えるのか、と聞かれて即答できる人は多くないかもしれない。
無論、倒産・廃業されてしまえば、その店でラーメンを食べられなくなる。が、高くなりすぎても客は食べられない。需要と供給が当然ではあるが、どのようにバランシングするのか注視したい。
◎調査概要
原材料高騰が直撃 「ラーメン原価」は2年前から1割増の試算
集計期間:2024年7月31日まで
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
調査機関:株式会社帝国データバンク
※調査結果は下記ホームページにも掲載予定
https://www.tdb.co.jp/report/index.html
※「カレー物価」に関する記事は以下より
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