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【商売繁盛】見るだけで好きになってくれる『ザイアンス効果』。うまく商品を露出することで集客力を高めよう!


多くの店舗事業者は、自身の提供する商品やサービスに対して人々に好感を持ってもらい、店舗に集まってほしいはず。では、どうやって好きになってもらうのか? 実は、「見てもらうだけ」で好感度と集客力を上げる方法があるらしい‼

🔳接し続けることで「新しさから親しみへと認識が変化」

 いらっしゃい!

 あなたの通勤通路やよく通る道に馴染みのあまりない国の料理を提供する飲食店ができたとしよう。店頭には、やはり見慣れない食べ物の写真やデジタルサイネージが飾られている。最初は特段注目していなかったが、何度か目にしているうちに「美味しそうだな」と思うようになり、知り合いを誘って食べに行ったという経験がないだろうか?

 こうした事象を研究した人々がいる。

 知名度が最も高いのはアメリカの心理学者ロバート・ザイアンスだろう。1968年にザイアンスがまとめた論文に収められ、そうした効果が広く知られることになった。彼の主張は「ある刺激(例えば、名前、音、絵など)に継続的に触れることで、その刺激に対する嗜好性や享受性が高まる」。つまり、何かに触れる機会が多ければ多いほど、その事象を好きになる傾向が見られという。この効果は、『単純接触効果』『ザイアンス効果』と呼ばれている。

 単純接触効果とは、潜在意識レベルで作用し、対象に意識させることなく対象者の好みや態度に影響を与えること指す。新しい人や物に出会った時、我々の脳はそれらを「見慣れないため、脅威となり得る物」と一旦は処理する。しかし、繰り返し接触することで予測可能性や安心感が増して「新しさから親しみへと認識が変化」し、その物や人をより肯定的に評価するようになっていくのだ。

▲広告などを通じて接触することで親しみが湧き、「試してみようかな」と気持ちが変化する

『ピュー・リサーチ・センター』社の調査(2006年)を紹介しよう。
 彼らのリサーチによると、既婚者や長期間交際している人の38%が同じ職場、学校、スポーツセンター、教会などで出会っていた。さらに、人と人の交流回数が増えれば増えるほど、その人物に対する好感度も増すそうだ。つまり、親密さ、とりわけ顔を合わせる頻度が人の好感度、ひいては互いの感情に影響を与えることがうかがえる。

 効果のほどは人間関係に限らず、音楽、芸術など、あらゆる分野で確認されている。最も分かりやすいのは広告だろう。広告主は、ブランドや製品を消費者に繰り返し見せることで、その製品への親しみや好感度を高めるようとする。当然、小規模の店舗事業でも単純接触効果を狙った集客戦略は可能だ。看板やデジタルサイネージ、あるいはメールなども試してもいいだろう。

🔳単純接触効果を活用した4つの広告手法を紹介

🔳ブランド広告

 企業は広告キャンペーンを通じてブランドのロゴ、ジングル(短い音楽。サウンドロゴとも言う)、スローガンを繰り返し消費者に見せる。目的は、ブランドへの親近感やポジティブなイメージを高め、購入の可能性やブランドへの忠誠心を高めることにある

🔳プロダクト・プレイスメント

 映画やテレビ番組、そしてオンライン・コンテンツなどでよく用いられる手法。自動車や電気製品を出演者が使用することによって視聴者に繰り返しそのアイテムを見せる。出演者に対する好感も相まって製品やブランドを好む可能性がある。また、ショップにおいて目立つ棚やレジ横にある商品を配置するのも含まれる

🔳ターゲティング広告

 ブラウザの閲覧履歴やビッグデータの解析結果などによって条件を満たした人向けに配信される。ユーザーの視聴サイトに広告を表示することで単純接触効果を狙う。しかも、ユーザーの嗜好にマッチしていることが多いため、購買行動に強い影響を与えられる可能性がある

🔳インフルエンサー・マーケティング

 Instagram、YouTube、TikTokなどのインフルエンサーがブランドとコラボレーションし、コンテンツ内で製品を紹介。多くのフォロワーを持つインフルエンサーがブランドや製品を繰り返し紹介することで興味を持たせて販売につなげようとする

▲SNSの発展した現代社会ではインフルエンサーを活用したマーケティングも有効な手段になっている(Unsplash)

 単純接触効果を狙った広告が有効なツールになり得るのは事実だが、非倫理的なサブリミナル的手法は言うまでもなく避けるべきであり、透明性と公正性を確保した上で実施すべきである。また、過剰な露出は必ずしもポジティブに受け取られるとは限らない。絶え間ない広告の嵐に顧客はうんざりし、企業や商品の評価を下げてしまう可能性もあるからだ。

 なお、単純接触効果を用いる際には知っておくべきポイントがある。
 1つ目は、単純接触効果が有効となるには、「感情」が芽生える前の接触でなければならないこと。どういうことかと言うと、ニュートラルな感情を持っている者は接触することによって対象に好意を持つようになっていくが、「気持ち悪い」、「怖い」といった嫌悪感をすでに抱いている者の好感度は上がらない。むしろ、悪いところばかりに目を向けるようになり、マイナスの効果を生むこともある。

 2つ目は、対象に対する好感が接触回数に比例して際限なく増すわけではないこと。対象が人や物、あるいは映像であっても10回程度の接触が限界であり、それ以降は好感度が上がらない、あるいは上がっても緩やかという調査結果も出ている。

 また、単純接触効果には副作用もある。慣れ親しんだものを無意識に選ぶことが多くなるため、新たな挑戦を避けたり、新しい情報を拒んだりすることがある。保守的な選択傾向が見られると言ってもいい。
 知らず知らずのうちにあなたもそうなってはいないだろうか?

 ありがとうございました!

参照:
https://www.neuroscience.org.uk/proximity-mere-exposure-effect-social-psychology/
https://segmentify.com/blog/best-examples-of-mere-exposure-effect-in-ecommerce-marketing/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5823266/
https://www.linkedin.com/pulse/we-like-what-familiar-how-mere-exposure-can-help-you-eat-simmons?trk=pulse-det-nav_art

「商売繁盛」に活かせる「返報性の原理」に関する記事は以下より

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