マーケティング界にはライフタイムバリューというタームがある。聞き慣れない言葉だからといって身構える必要はない。説明を聞けば、「な~んだ‼」と思うはず。とは言え、集客や打ち上げアップには非常に重要な概念であるため、再確認のために読んでほしい。
🔳ドラッガーの教えが高売上を支える
いらっしゃい!
「1対5の法則」に関連して知っておいてほしいのがライフタイムバリューである。著名な経営コンサルタントであるピーター・ドラッカー(2005年11月11日没)が提唱した。ドラッガーは、あらゆるビジネスの究極の目標は、ただ顧客を獲得することではなく、顧客を創造し、維持することだと考えていた。 そうした理念を持つドラッカーは、あらゆるビジネスの成功においてライフタイムバリュー、日本語したところの顧客生涯価値が重要であることを強調。顧客生涯価値を重視することで企業は、商品やサービスの購買を長期にわたって続けてくれる忠実な顧客を創造できると考えていた。
ドラッガーは言う。
「未来を予測する最良の方法は、未来を創ることだ」
未来という言葉を顧客に置き換えると、顧客創造が企業の未来を明るくするとも解せる。
要するに常連客を作り、常連客を大事にしようということだ。そうすれば、売り上げは予測しやすくなるし、売り上げアップのためにすべきことも分かりやすくなる。
▲あらゆる事業は、顧客の要望に応えるようにしてライフタイムバリューを高めようとする
ライフタイムバリューを深堀していこう。
これは、顧客が一生の間(顧客であり得る期間内)にある特定の製品やサービスに費やす金額を算出したもの。各顧客の長期的な価値を判断するのに役立つため、企業にとって重要な指標となる。また、顧客の維持は売上を伸ばすだけでなく、顧客ロイヤルティーの向上につながる。つまり、顧客一人ひとりの生涯価値アップに力点を置くことで企業は長期的な成長と成功のための強固な基盤を作れるのだ。
米国のコンサルティング会社『ベイン&カンパニー』の顧客維持に関するリサーチを紹介しよう。調査によると、顧客維持率をわずか5%上昇させるだけで利益が25%~95%も増加するという結果が出たそうだ。
ライフタイムバリューを重視したプログラムを打ち出し、成功の代表例とされているのがアマゾンの定額制サービス、『プライム』である。プライム会員には、国によって若干の差はあるが、購入商品の送料無料やストリーミング・コンテンツの視聴といった特典が付与され、顧客が長きに渡って自社のプラットフォームでより多くのお金を使うように促すプログラムを実施し続けている(米国では年間会費139ドル<約1万9000円>。日本では年間会費4900円)。
実際の消費傾向を分析しても、プライム会員は非会員よりも多く消費する傾向にあることが分かる。2021年のある調査によると、プライム会員の年間平均支出額は年間1,400ドルであるのに対し、非プライム会員の年間平均支出額はその半分以下の600ドルだった。いくつかの調査結果があるが、プライム会員が非会員の倍以上、アマゾンのプラットフォームで支出しているというのはほぼ共通している。
こうした数値を見れば、アマゾンがプライム会員を満足させ、会員であることを継続させようとするのは理にかなった施策であることが分かる。
▲Amazonはアマゾンプライムなどを通じてライムタイムバリュー向上を試みる
🔳5つの施策によって顧客の満足度を高く維持する
ライフタイムバリュー向上の施策を5つ紹介しよう。
① 顧客維持に注力
顧客との強い関係を築くことが重要。満足度の高い顧客は繰り返し購入したり、知人に紹介したり、あるいは好意的なレビューをweb上に残したりする可能性が高い。顧客維持のためにパーソナライズされた体験、ロイヤルティー・プログラムなど、優れたカスタマー・サービスを提供するように心がける
② 顧客エンゲージメントを高める
アップデート情報やパーソナライズされた情報を定期的に提供し、ブランドへの関心を維持するように促す。SNSで体験を共有したり、コンテストやアンケートの存在を通知したりするのにも効果がある
③ アップセルとクロスセル
既存顧客に対して上位のサービスを提供(アップセル)したり、付随サービスや製品を提供したりする(クロスセル)。顧客全体の消費額を増やすことを狙う
④ 製品&サービスの品質向上
製品やサービスが顧客の期待に応えていること、あるいは期待以上のものであることを定期的に確認する。同時に顧客の声やデータに基づいて評価し、改善していく
⑤ サブスクリプションを提供する
サブスクリプション・モデルは継続的な収益を生み出すこと、そして顧客維持率を向上させることに貢献。顧客に付加価値と利便性を提供できるサブスクリプションは強力な武器になる
覚えておいてほしいことがある。それは、ライフタイムバリューの向上は「継続的なプロセス」ということだ。「1回の施策やサポートで終わり」ではなく、長期的な成功に向けて顧客からのフィードバックとデータを活かして継続的に分析し、取り組みを最適化しなければならない。そうしてこそ、高い売り上げ力を継続できるのである。
ありがとうございました!
参照:
https://www.bl.uk/
https://www.fool.com/the-ascent/
https://www.amazon.co.jp/
https://www.bain.com/
※SEO改善の記事は以下より
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