店舗を開業する上で欠かせないのがテナントの確保であり、不動産に関する知識。この連載では、不動産業界で長く活躍するSAWASANが基本知識を紹介する。
■確認すべき基本的な10項目
連載の4回目では不動産契約を結ぶ際に注意すべき基本的な10項目を紹介しました。今回は、店舗として賃貸契約を結ぶ際に注意すべき基本的な9項目を紹介します。参考にしてください。
1.場所の選定:
過去の原稿でも触れていますが、開業する業種やターゲット顧客に合った立地を選ぶことが重要になります。また、交通の便や周辺の競合店舗の有無もチェックすべき項目です。現在の空地、建築計画(役所調査)、過去の近隣店舗調査(聞き取り、住宅地図過去、更新前のGoogle map)から情報収集しましょう。さらん、近隣の商業施設や生活施設の充実度、治安の状態などを調査したほうがいいと思います。周辺環境がビジネスに与える影響は大きいと覚えておいてください。
2.契約条件:
場所(テナント)を見定めたら、契約条件の確認。契約期間、家賃、更新条件、借地権の有無など、契約条件を十分に理解するように心がけましょう。不明な点がれば、質問しましょう。解約条件はさらに大切です。条文を理解しましょう。
3.物件の状態:
店舗内外の状態を確認し、必要な修繕や改装があるかどうかを見極めましょう。場合によっては思わぬ追加費用が発生するかもしれません。見落としてほしくないのは現状回復に関すること。契約解除や引渡し時に、どこまで現状回復しなければならないかをチェックしておかないと、最終的に大きな支出を強いられる可能性があります。
4.使用許可や制限:
物件の利用に対する許可が必要なケースや制限があるケースがあります。例えば、飲食店の場合は厨房や営業時間に制限があることがあります。重飲食や軽飲食という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。一般的に「本格的な調理を行なう」、「大きな厨房で火や電気を使う」といったものが重飲食。ただし、重飲食OKの物件でも排煙機能が備わっていないため焼肉屋はダメなど、物件による相違点があります。飲食店を考えているのであれば、要チェックな項目です。
5.駐車場の有無:
お客様の利便性を考え、駐車場の有無を確認しましょう。付随していなければ、近隣の駐車場事情を調査しておいてもいいでしょう。
6.追加費用:
家賃以外に支払うべき費用があるかどうかを確認しましょう。共益費や管理費、税金などを支払う必要があれば、事業計画に織り込む必要があります。
7.トラブルや紛争の歴史:
過去にトラブルや紛争があったかどうかを調査しましょう。仮にあれば、経緯や解決状況を確認したほうがいいでしょう。
8.立地の将来性:
地域の将来的な発展性を考慮したり、再開発の有無を役所で調べておくことも重要です。新しい駅が建設予定であれば将来の需要拡大が見込めるでしょう。一方、道路の拡張によって周囲の状況が一変すれば、現在期待できる需要が吹き飛んでしまうリスクもあります。
9.レビューや口コミの確認:
他のテナントや前の店舗のオーナーからできるだけ情報を集めましょう。物件や大家さんの評判を把握し、「契約前にやっておけば良かった」という後悔がでないような状態で開業すべきです。
以上、簡単にチェック項目を並べてみました。「これで十分」というわけではありませんので、自分に業態に合った調査をするようにしてください。
◆著者の取得資格◆
国土交通大臣、登録証明事業(3)第28034号、不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、宅地建物取引士(埼玉)第045713号、FPファイナンシャルプランナー第30220347号、賃貸不動産経営管理士(2)第020666号
※SAWASANの連載3回目コラムは以下より
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