昼は豊富なメニューの食事にスイーツ、日が暮れれば酒好きには垂涎の豊富なラベルを楽しめる。店主の好きな物を詰め込んだ店の魅力とこだわりとは。
■「第二期」でバーにも変身
福岡市営地下鉄渡辺通駅から徒歩約10分。博多湾に流れる那珂川沿いの古びたビル『Lassic』の1階にカフェバー『喫茶・喫酒おまめ』はある。
店のオープンは2007年8月。オーナーの坂田伊都子さんは大学時代まで陸上の選手で、卒業後は実業団の陸上部のマネージャーを務めていたが、独立して自分で何かやりたいと思いたった。ちょうどその時、知り合いの女性のカフェをやりたいという話に乗って一緒に経営することになった。
カフェというと食事は脇役のイメージがあるが『おまめ』のメニューは豊富だ。ちょっとした定食屋と比べても遜色はない。特に赤味噌を使ったカレーは人気メニュー。オープン当初はテレビ等の取材で取り上げられ、行列もできた。
オープンして数年後に一緒にはじめた友達が結婚して坂田さんひとりでお店を回していたが、12年8月から“第二期”の『おまめ』が始まる。中洲でバーテンダーをしていた日髙優子さんと共同で『おまめ』を経営することになったのだ。日髙さんが加わったことでお酒を提供することになり、店内をバー仕様にするため1千万円近くかけて改装した。これを期に、昼営業は坂田さんが、夜営業は日髙さんが担当するようになった。
写真でもわかるが、お酒の種類がとにかく豊富。中には100年以上前に製造されたマディラワインもある。また、本場のアイラ島まで行って購入したヴィンテージ物も多く揃えている。ウィスキーは200種類以上あるというから、お酒好きならラベルを眺めるだけでワクワクするはずだ。
■お酒も食事もスイーツも
お酒だけではなく、お酒の席に花を添える音楽にも強いこだわりが見える。アンプやCDプレーヤーは高級オーディオメーカー『LUXMAN』のもので、どちらも真空管が使用された機器。スピーカーも『TANNOY』という高級メーカーのものだ。
高級オーディオから流れる音楽を聞きながら、窓から見える那珂川の川面に映る街の明かりを眺めつつ、ヴィンテージのウィスキーの豊かな香りと味を楽しむ。至福の時間である。
「特に何がウリだということはないんですが、強いて言えば何でもあるのがウリでしょうか。ひとりはお酒だけ、ひとりは定食、ひとりはコーヒーとパフェという3人組のお客さんもいらっしゃいますから」
酒も食べ物もスイーツもどれもが充実しているというお店は確かにあまりない。
売り物が豊富なだけに打たれ強く、コロナ禍のときもピンチになることはなかった。2016年ごろ、店の上の階の水道工事による漏水で店内が水浸しになったことがあった。結局、内装をすべて一からやり直すことになったが、それ以外はトントン拍子に進んでいるという。
「ざっくりと1日3万円の売上があればなんとかなりますし、なんとかクリアしています。そうじゃなければ、お店を何日間も閉めたりしません」と坂田さんは笑う。
■週休2日でも支持される理由
そう、この店は週休2日。火曜日以外の休みは不定期だが、それ以外でも閉めていることがある。それは坂田さんと日髙さんの共通の趣味である登山で地方に“遠征”するからだ。2人は今年の5月も日本人女性初8000m峰13座登頂した登山家、渡邊直子さんと一緒にヒマラヤのロブチェ東峰の山頂（6119m）に登っているし、18年にはマレーシアのキナバル（4095m）にも登っている。もちろん国内の山にも出かける。その場合は1週間以上店を閉めるときもある。
それもあって登山好きのお客さんが集まる店でもある。九州の山に登りに来た登山者が本州の人が店を訪れることも多々ある。また、坂田さんが陸上経験者ということもあって、実業団の関係者も多い。
2人のオーナーの好きなものを詰め込んだ『おまめ』の空間の「なんでもある」に多くの人が惹きつけられるのだ。
◎店舗情報
店舗名：喫茶喫酒 おまめ
住所：福岡市中央区清川2-1-21 Lassic1-D
営業時間：平日／カフェタイム12：00～15：00 17：30～22：00
土日祝／12：00～22：00（通し営業）、バータイム／19：00～24：00
定休日：火曜日、不定休
電話：092-523-6323
HP：https://omame-cafe.com/menu/index.html
※「蒲田にある『そら豆』」に関する記事は以下より
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