暑い夏の定番メニューの一つと言っていいのがカレー。食欲が低下していても、スパイスが食欲を刺激し、夏バテ防止に一役買ってくれる。国民食とも言っていいほど日本人にとって身近な食事にも、価格高騰の波が押し寄せているようだ。帝国データバンクの調査を紹介する。
■カレーライス物価とは?
あまりなじみのない言葉だが、帝国データバンクは以下のように定義している。
[注]カレーライス物価:カレーライスで使用する原材料や、調理にかかる水道光熱費などを独自に試算した指標
引用:「カレーライス物価指数」調査(2024年5月)
各種価格データは「小売物価統計調査(総務省)」のうち各都市平均値(全国平均)。当該調査は今回が初めて
カレーライス物価指数:各月のカレーライス物価を基に、2020年平均=100とした価格推移。なお、前年同月比の計算式は下記に準ずる
(計算式)([当月の指数]-[前年同月の指数])/[前年同月の指数]×100
※カレーライスの材料・エネルギーの定義は下記の通り。調理シーンは「6食分(市販のカレールー1/2パック)をまとめて調理した」ものとした
【原材料】 ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、牛肉(輸入)、コメ(コシヒカリ、1食:200g換算)カレールー(市販)、食用油
【エネルギー】 電気(炊飯器での調理、約7合分の炊飯+6時間の保温を加味した)、ガス(強火・中火・弱火の各調理手順)、 水道水(上水道分のみ、下水道使用料は除く。食材・食器類の洗浄にかかる水量は考慮していない)
■品薄が米の価格を押し上げる
子供から大人まで幅広く好まれているカレーライスだが、さまざまな食材の値上がりによって自宅で作るカレーライスの費用も高くなっている。カレーライスを作る際に必要なのは「具材(肉・野菜)」、炊飯器での炊飯や保温、そしてガスでの調理に関連する「水道光熱費」。帝国データバンクの調査によると費用において、「具材(肉・野菜)」の占める割合が最も高く、全体の約6割。円安の影響で値上がりが続く輸入牛肉や天候不順でニンジンなどの野菜類も高値で推移していることが響いたと分析した。またごはん(ライス)も込め不足のために上昇傾向にある。一方、炊飯器での炊飯や保温、ガス調理など「水道光熱費」に大きな変化は見られないとした。
カレーライス物価を基に、2020年平均を100とした独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、2024年5月の指数は117.8となり、前年同月比で8.3%上昇した。12カ月連続のプラスとなったほか、総務省が発表する同月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の3倍となる高い伸び率となり、物価上昇の影響を強く受けている。
引用:「カレーライス物価指数」調査(2024年5月)
農林水産省の発表では、ジャガイモ(バレイショ)とニンジン、タマネギの各価格は、いずれも「平年を上回って推移する」としている。コメや輸入牛肉も当面は価格の下落が見通せず、6月のカレーライス物価も過去最高値の更新が見込まれるなど、今夏は高値での推移が予想される。
※「カスタムカレー」に関する記事は以下より
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