株式会社博報堂(本社:東京都港区、代表取締役社長:水島正幸、以下博報堂)のシンクタンク博報堂買物研究所(以下、買物研究所)は、EC領域に特化した組織横断型プロジェクト『HAKUHODO EC+』とともに、次世代の買物の主役となるZ世代の買物行動・買物価値観の深堀、また、ライブコマース・クイックコマースなど次世代コマースの利用動向の把握を目的とした「Z世代×ニューコマース調査」を実施いたしました。この調査は、博報堂DYグループ「ショッパーマーケティング・イニシアティブ®(※)」の取り組みのひとつです。
🔳積極的に情報を獲得し、情報の真偽を見極めながらコマース
調査結果から見えたZ世代特有のコマース行動を「買物研究所×HAKUHODO EC+」では『バイヤー型消費』と名付けました。
Z世代のコマース行動には「積極的に情報収集をして、自分が欲しい情報を自ら取りに行く(開拓志向)、良い物を選ぶために国内・海外問わずにフラットに製品を購入する(越境志向)、自分なりの情報筋を確保しつつ、本当に信用できる情報かを見定める(見極志向)、良いと判断した物は、自分の直感を信じて即決で購入する(即決志向)」という特徴が見られ、バイヤーさながらに自らの足で積極的に情報を獲得し、情報の真偽を見極めながらコマース行動を行なう姿が浮き彫りとなりました。
(今回、バイヤーとはマーケットのトレンドを読みながら売れそうな商品をさまざまなブランドやメーカーから仕入れ・買い付けを行なう職種と定義)
▲Z世代はSNSなどを駆使して買い物(Photomix Company/Pexels)
🔳Z世代の『バイヤー型消費』の4つの特徴
①「開拓志向」:積極的に情報収集をして、自分がほしい情報を自ら取りに行く
トレンドを気にしながらも、自分の軸を持ってSNSを駆使し、人とかぶらない商品を探し続ける。また独自の消費スタイル「研究消費」(自分の好きなカテゴリーでの買物では多少の失敗は気にせず、それもまた自分の知見にしていく)や次世代コマースも活用しながら新しい商品を探すなど、積極的な情報収集をしながら買物を行なう。
②「越境志向」:良いものを選ぶために国内・海外問わずにフラットに製品・サービスを購入する
国内のメーカー・ブランドだから買うという意識は薄く、良い商品を追い求めて海外サービスも駆使しながら自分が知らない海外メーカーの商品でも別け隔てなく購入する。
③「見極志向」:自分なりの情報筋を確保しつつ、本当に信用できる情報かを見定める
SNSのタイムラインに流れる情報をそのまま鵜呑みにせず、自分でデザインしながらお気に入りのインフルエンサーや個人のアカウントの商品への評価や投稿から情報を集め吟味する。
④「即決志向」:良いと判断した物は、忘れないうちに即決で購入する
今までの情報収集やその時に自分が本当に欲しいと思った直観を信じて即決で購入をする。
🔳調査結果を踏まえて
Z世代の「バイヤー型消費」の背景には、生まれた時から大量のデジタル情報に触れ続けてきたZ世代ならではの情報価値観、買物価値観が根底にあり、情報の信頼源を探し、SNSを駆使して自分の「買いたい」という欲求に向き合っている姿が見て取れました。令和の消費行動をリードし続けるZ世代にアプローチするためには、こうした特有のコマース行動を踏まえた戦略設計・行動デザインが欠かせません。Z世代から信頼を獲得できる商品情報の伝播方法やZ世代の「買いたい」衝動を逃さないシームレスな購買導線・決済を提供する新しいコマース体験など、彼らの特性をうまく捉えたプラニングが必要不可欠だと考えます。(分析担当)
🔳調査結果の詳細
◎Z世代の『バイヤー型消費』の4つの特徴
Z世代(15-25歳)特有のコマース行動を把握するため、今回の調査では主にY(ミレニアル)世代(26-41歳)とX世代(42-59歳)と比較しています。
🔳「開拓志向」
◎トレンド商品は取り入れたいが、かぶり回避のため、SNSで人とかぶらない商品を探す
・定量調査の中で「トレンドや流行りの商品を選ぶ」に対して、あてはまると答えるZ世代は39%。Y世代よりも+12pt高い結果(Y世代27%、X世代16%)。
・一方で「人とかぶらないブランド・メーカーを選びたい」に対して、あてはまると答えるZ世代は42%。Y世代よりも+6pt高い結果(Y世代35%、X世代35%)。
・「店舗よりもSNSで商品を探したほうが人とかぶらないファッションを探すことができると感じる」に対して、あてはまると答えるZ世代が45%。Y世代よりも+16pt高い結果(Y世代29%、X世代21%)。
・定性調査の中では「流行っていても自分が好きだと思ったら見たり買ったりするけど、そうでもなかったら別に買わない」、「トレンド品のファッションがかぶったら恥ずかしいので、見かけた服は選ばない」、「緑や青など分かりやすい色でかぶると恥ずかしいので、トレンド品で欲しいものがあったら黒やネイビーなど、無難な色で選ぶようにしている」(Z世代・大学生・女性)など、トレンド品といえども安易に飛びつかず、自分の嗜好と照らし合わせて購入をする姿が見て取れる。
▲他人とかぶらないようにするものZ世代の特徴(JamesDeMers/Pixbay)
◎趣味や好きなことを深く極めていく中での多少の買物の失敗はいとわない「研究消費」
・定量調査の中で「趣味や好きなことを深く極めたい」に対して、あてはまると答えるZ世代は74%。Y世代よりも+10pt高い結果(Y世代64%、X世代63%)。
・定性調査の中では「自分の趣味の美容系のグッズだったら多少失敗しても全然問題ない。むしろ好奇心が勝つので、これ試してみたい!となる」、「メルマガで肌知識や美容に関する企業の裏事情を知るために有料のメルマガを購読している」(Z世代・専業主婦・女性)など、自分が本当に極めたい趣味の買物に関しては、多少の失敗はいとわない。また、企業の裏事情なども収集するなど、好きな物に関してはすべての知識を網羅したいという欲求が存在する。
◎ライブ&ソーシャルコマースは「新しいブランドとの出会いの場」としてZ世代に活用されている
・定量調査の中で「ライブコマース内で扱う商品のことを、事前にどの程度知っていることが多いか?」という問いに、Z・Y世代ともにライブコマースユーザーの42%が「新しい商品を見つけるために視聴」と回答。Z世代がソーシャルコマースを利用する理由TOP5は以下の通り。
- TOP1「お店に行かなくても商品が買えるから(28%)」
- TOP2「欲しいと思う商品が多いから(24%)」
- TOP3「今までまったく知らなかった商品を知ることができるから(22%)」
- TOP4「思いがけず良い商品に出会えるから(20%)」
- TOP5「珍しい商品に出会えるから(20%)」
Y世代の利用理由TOP5と比較すると、Z世代のほうが新しい商品との出会いを求めてソーシャルコマースを活用している姿が見て取れる。
Q. 以下のオンライン上でのお買い物方法で利用される理由について、それぞれあてはまるものをすべてお選びください(ソーシャルコマース)
🔳「越境志向」
◎日本人や身近な人からの評価が高ければ、海外サービスを駆使して自分が知らない海外メーカーの商品でも購入
・定量調査からは大手ECモールだけではなく、海外の新興ECサイトを通じて購買を行なうユーザーも一定数見られた。その上で、「自分が知らない海外メーカーの商品でも、SNS上で日本人の評価が高ければ購入したいと思う」と回答したZ世代は57%。Y世代よりも+14pt高い結果(Y世代43%、X世代31%)。
・定性調査では、「(商品を購入した海外サイトは)商品名や着用モデルが日本人向けではないため、利用のしにくさはあるものの、ちゃんと届くのか・生地が丈夫かなどを身近な人に教えてもらったから安心して買える」(Z世代・女性・大学生)といった意見がみられ、身近な人のお墨付きがあれば海外サービスを駆使して購入を行なうことが分かった。
◎日本のブランド・メーカーを応援したいという意識は他世代よりも薄い
・定量調査の中で「日本のブランド・メーカーを応援したい」に対して、あてはまると答えるZ世代は53%。Y世代よりも-7pt低い結果(Y世代61%、X世代66%)。
🔳「見極志向」
◎企業のアカウントよりも「個人のアカウント」からの情報収集行動が増加
・定量調査の中で「企業が発信する情報よりも、評価が高い個人のSNSの情報を参考にして買うことが多い」にあてはまると回答したZ世代は51%。Y世代よりも+16pt高い結果(Y世代35%、X世代23%)。
・定性調査では「インフルエンサーのアカウントはその投稿に対していろいろな人がコメントしており、ファッションの組み合わせ方など、参考になるコメントを見ることができる」(Z世代・女性・高校生)など、自分が好きなインフルエンサーをフォローしている個人のコメントを参考に買物を行なう姿も見られる。
・また、「自分の好みではないアカウントをフォローすると、アルゴリズムが崩れてしまい、タイムラインの最適化が崩れる」、「公式アカウントを見るのはCP時のみ」(Z世代・女性・高校生)など安易にSNS上で企業アカウントをフォローせず、自分が信頼できる情報だけが取得できるように自分のSNSアカウントを調整していることが分かった。
◎企業の情報透明性を見極める
・定量調査の中で「製造プロセスや情報を公開している(透明性のある)ブランド・商品を選びたいと思う」にあてはまると回答したZ世代は43%。Y世代よりも+5pt高い結果(Y世代38%、X世代39%)。
🔳「即決志向」
◎Z世代は良いと思った商品を「忘れないために即決で購入」する
・定量調査の中で「衝動買いをよくする」と答えたZ世代は37%。Y世代よりも+7pt高い結果(Y世代30%、X世代19%)。
・定性調査では、「欲しいと思った商品は、スマートフォンでスクリーンショットをしてたまに保存するが、欲しいと思ったこと自体を忘れてしまうときがある。なるべくそうならないように早めに買うようにしている」(Z世代・社会人・男性)など、本当に欲しいものは衝動的に購入していることが分かった。
◎クイックコマースを活用しながら時間を捻出
・定量調査の中でクイックコマースユーザーに対して、クイックコマース利用理由を聞いたところ、「自由に使える時間が増えたから」とZ世代の20%が回答。Y世代よりも+5pt高い結果(Y世代:15%、X世代:15%)。
・さらにZ世代のクイックコマースユーザーにクイックコマース利用理由を自由回答で聞いたところ、体力・気力がない時、手が離せない時、外出が難しい時などのY・X世代にも見られるクイックコマースの利用理由以外に「大事な時間を確保したい時」、「欲しいものをすぐに手に入れたい時」という利用理由はZ世代に顕著に見られ、時間の使い方への意識が高いZ世代ならではのクイックコマースの使い方が見て取れる。
Q. あなたが直近、「クイックコマース」で商品を購入された時のことについて、おうかがいします。そのお買い物で買った商品とクイックコマースを使った理由について、どのようなことでも結構ですので、それぞれ具体的にお答えください。
●定量調査概要
◎調査タイトル:博報堂買物研究所×HAKUHODO EC+「Z世代×ニューコマース調査」
調査対象:15~59歳。男女、かつ直近一年以内EC利用者
調査地域:日本全国
調査手法:インターネットリサーチ
調査時期:2023年1月
有効回答数:3,843サンプル(内訳)Z世代(15-25歳):1,854s、Y世代(26-41歳):516s、X世代(42-59歳):516s(ブーストサンプル)ライブコマースユーザー:378s、ソーシャルコマースユーザー:373s、クイックコマースユーザー:103s、メタコマースユーザー:103s、
調査委託先: 株式会社H.M.マーケティングリサーチ
集計方法:スクリーニング調査を人口動態に合わせて「性別×年齢」(6区分)で割り付けて回収の上、一般サンプルについては、スクリーニング調査での調査対象者の出現構成に合わせる形でウエイトバック集計を実施。ブーストサンプルについても、各ユーザー内の「性別×年代」(Z/Y/Xの3区分)をスクリーニング調査での対象者の出現構成に合わせる形でウエイトバック集計を実施。また本リリースでは、小数点以下を四捨五入したスコアを掲載しているため、点数差は見た目の数値と異なる場合があります。
●定性調査概要
◎調査タイトル:博報堂買物研究所×HAKUHODO EC+「Z世代×ニューコマース調査」
調査対象:Z世代(15-25歳)の男女
調査地域:日本全国
調査手法:オンラインデプスインタビュー
調査時期:2023年2月
対象者数:5サンプル(内訳)18~25歳/男性:大学生、18~25歳/男性:社会人、15~18歳/女性:高校生、18~25歳/女性:大学生、18~25歳/女性:専業主婦
調査委託先: 株式会社H.M.マーケティングリサーチ
◎博報堂買物研究所
https://www.hakuhodo.co.jp/kaimonoken/
企業の「売る」を生活者の「買う」から考え、買物現場の真実に着目し、買物客の本音・買物のツボである「買物インサイト」を起点に、買物欲を満たす「買物シナリオ」を創造し、新しい買物行動を生み出すソリューションを提案・実行する実践的研究所です。「博報堂買物研究所」は、博報堂をはじめとするグループ12社が推進する、オンライン/オフライン領域で生活者に新しい買物体験を提供する戦略組織「ショッパーマーケティング・イニシアティブ®」の傘下で新しい体制を構築し、“開かれた”買物研究所を目指しています。
◎HAKUHODO EC+
https://www.hakuhodo.co.jp/ecplus
「HAKUHODO EC+」は、博報堂DYグループ内各社および協⼒会社のナレッジやスキルを集約し、ECを起点とした企業のさまざまな価値創造 DX の推進をワンストップでサポートするためにEC領域に特化した博報堂DYグループ横断型プロジェクトです。新しいコマース、新しいECの可能性をいち早くキャッチし、市場分析・課題発⾒・戦略構想からシステム開発・ECサイト構築、実装・集客・CRM、さらにはフルフィルメントやコンタクトセンター等の運⽤に⾄るまで、あらゆるバリューチェーンにおいて企業のマーケティング DX・事業成⻑をフルファネルで⽀援してまいります。
「HAKUHODO EC+」は博報堂をはじめとするグループ12社が推進する、オンライン/オフライン領域で生活者に新しい買物体験を提供する戦略組織「ショッパーマーケティング・イニシアティブ®」の傘下の取り組みとして活動してまいります。
◎博報堂DYグループ「ショッパーマーケティング・イニシアティブ🄬」
https://smi-wow.jp/
ショッパーマーケティング・イニシアティブ🄬は、「HAKUHODO DX_UNITED」傘下の博報堂DYグループ12社横断の戦略組織です。12社が有する専門機能と各領域のスペシャリストを結集し、“ひとつながり”のチームとして有機的に実行します。リテールDX(小売/店舗におけるDX)、コマースDX(購買接点のDX)、デジタル販促、リアル販促、ショッパーマーケティングデータ活用等の各対応領域で、流通/小売/メーカーのビジネス成果や売上拡大に貢献し、ショッパーの課題ファーストで生活者に新しい買物体験(=WOW!)を提供する「価値創造型の次世代ショッパーマーケティング」をワンストップで提供いたします。
※ショッパーマーケティング・イニシアティブ🄬は博報堂、博報堂DYメディアパートナーズ、博報堂DYホールディングス、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム、アイレップ、博報堂プロダクツ、博報堂DYアウトドア、セレブリックス、エクスペリエンスD、バックスグループ、日本トータルテレマーケティング、グロースデータの12社で構成される「販促・コマース領域」に対するソリューション提供を行う戦略組織
*ショッパーマーケティング・イニシアティブ®は、株式会社博報堂の登録商標です
引用元:PR TIMES(https://prtimes.jp/)
※Z世代の「タイパ意識」に関する記事は以下より
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