若い人たちの間で話題になっている『10円パン』という食べ物を知っているだろうか? 10円と安いから人気なのではない。「SNS映えする」というのが最大の理由らしい。10円パンとともに『10ウォンパン』を紹介する。
🔳キャッシュレスによって硬貨の生産枚数が激減
いらっしゃい!
人との接触を極力避けるようにしていた新型コロナウイルス禍を経てキャッシュレス化が一段と進んだ感のある昨今。紙幣はまだしも、硬貨に触れる機会はぐっと減った。電車の切符を買うことはないし(切符を知らない世代も増えている)、コンビニに行って硬貨で支払うことだってめったにないだろう。「若い人たちの中には硬貨の存在を知らない人もいるのでは?」とさえ思う。
あなたが、硬貨を使っている人を最後に見たのはいつだろう?
財務省の発表も「接触機会の減少」を裏付ける。
1973年度から1981年度まで10円硬貨は年間10億枚以上製造され、1974年度には最多となる17億8000万枚を記録した。しかしその後、10円硬貨の製造は減少の一途をたどり、2022年度は6,100万枚、2023年度は前年度比50%近い3,300万枚となった。
🔳グイーンと伸びる見た目だけでなく味もいい
しかし、である。10円が密かに脚光を浴びている。10円硬貨をモデルにした『10円パン』が「SNS映え」を求める若者たちの心を射止めたのだ。事実、10円パンを販売している新大久保の店舗にも頻繁に行列が発生している。
10円パンのつくりは非常にシンプル。見た目は「タイ焼き」などを連想させるかもしれないが、生地はパンケーキのそれに近い。そしてパンケーキ生地の中には大きな塊のチーズが入る。
焼き上がりはとても熱いのだが、火傷に注意しながら食べるために生地を千切ろうとすると、中に隠れていたチームが伸びる、伸びる。まさに「映える」。「見てくれだけ」と見誤ってはいけない。甘めの生地とチーズのミルク感としょっぱさが絶妙なバランスを織りなし、食べるのを止められなくなる。
国内で10店舗以上を運営する株式会社B.Nのホームページにはチーム味のほかにカスタード味、あずき味、抹茶カスタード味、そしてチョコ味が紹介されている(いずれも500円)。お好みの味にトライしてみてほしい。
▲『10円パン』はチーズの大きな塊を生地に入れて焼き上げる
▲あなたならもっと「映える」写真を撮れるはず
🔳10円パンのルーツは韓国にあり!
知っている人も多いかもしれないが、10円パンの先輩とも言うべきものが韓国生まれの『10ウォンパン』。アルミニウムと銅メッキから出来ている韓国の10ウォン硬貨を正確に模し、2019年頃から韓国国内で売られていたとされている。
ちなみに1ウォンの円レートは2023年8月1日現在、約1円だが、10ウォンパンは韓国国内では330円ほどで売られ、日本では10円パンと同じく500円というのが多そうだ。
新大久保で10ウォンパンを販売している店舗ではシンプルなチーズ味のほかに「プルコギチーズ味」(550円)なども売られていた。
▲韓国の10ウォン硬貨を模した『10ウォンパン』
日韓で人気を集める「硬貨パン」だが、本家の10ウォンパンは見られなくなるかもしれない。
7月14日付の中央日報/中央日報日本語版には、「コインのデザイン著作権を持つ韓国銀行がストップをかけ始めたためだ。韓国銀行は先月21日の報道参考資料で『(10ウォンパンのような)営利目的で貨幣の図案を使うのは許可しない』と明らかにした」とある。記事を記した同紙のチュ・チョンワン論説委員は韓国銀行の決定に否定的な見解を述べているが、デザイン変更で落着となる可能性が高いらしい。
一方、日本では『FNNプライムオンライン』の取材に対して財務省は、「『10円パンのように実際の貨幣と見間違う恐れのないものは、取り締まりの対象にはならない』と返答した」という。
10円パンは大丈夫そうだが、元祖とも言うべき10ウォンパンの未来やいかに……。
ありがとうございました!
参考:
https://s.japanese.joins.com/JArticle/306637?sectcode=120&servcode=100
http://10yenpan.jp/
https://news.yahoo.co.jp/articles/9d9c051f9f621f6a3af55afa5cca5a1654baea03
※台湾スイーツに関する記事は以下より
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