前回、マーケティング・ミックスの基本的な考え方をお伝えしました。しかし、どれだけ情報を集め、知識を得たとしても、その知識を実際に自分のお店の経営に使えるものにならなければ、もったいないですよね。今回は、マーケティング・ミックスの「製品」の考え方を踏まえて、現在の自分のお店の商品(メニュー)構成を点検する方法をご紹介したいと思います。
■自分のお店のメニュー別売上状況は、いつでも確認できていますか?
マーケティング・ミックスの1つ目は「製品」ですが、現在のあなたのお店のメニュー構成は満足いくものでしょうか? メニューが豊富なお店もあれば、「餃子専門店」のように絞り込んでいるお店など、飲食店の皆さまのメニュー構成はさまざまですが、まずは現状のメニューごとの売れ行き状況を見えるようにしてみましょう。
POSレジなどを導入しているお店であれば、「毎日何が何個売れたか」は常に確認できると思います。「何が売れ、何が売れていないのか」について、いつでも確認することができるか。ここが最初のチェックポイントです。
■自分のお店のメニューを売上金額と粗利率で4つのグループに分けてみましょう
次に、メニューごとの原価について、どこまで把握できているか確認しましょう。一般的に飲食店の原価(材料費)率は30%程度を目安にすると言われていますが、あなたのお店の現状はどうでしょうか?
メニューごとの原価計算をしてみると、あるメニューは30%以下だけれども、別のメニューでは35%になっている、メニューごとに使う材料が違えば、こうした事態も起きているかもしれません。 メニューごとに売上金額と粗利率(1ー原価率)を出すことができたら、下の表のように形でメニューを4つにグループ分けしてみると、各メニューの現在の立ち位置が見えるようになります。
売上金額 | |||
平均以上 | 平均以下 | ||
粗利率 | 平均以上 | ①稼ぎ頭メニュー | ②伸び代メニュー |
平均以下 | ③問題児メニュー | ④中止検討メニュー |
こうして分けると、①をメインに、②を伸ばしつつ、④については中止も検討するまでは考えやすいのですが、一番悩ましいのが③です。売上金額が平均以上ということは、人気のあるメニューだと思われますが、ここが一番人気だと収益の面では厳しくなりがちです。定期的に自社のメニューの状況を確認しながら、より良いメニュー構成を維持できるよう、メニューの入替も含めて考えていきましょう。
■調理方法の開発
上の2では、食材などの原価を見てきましたが、最近は最低賃金上昇への対応も経営面では大切な取り組みです。そのためには各メニューの調理方法についても、できるだけシンプルに効率良く作業できる方法を考える取り組み、例えば、魚の鱗取りのような一定の技術が必要となる下準備などを、自分でやるのか、人に育てて任せるのか、もしくは機械で行うのか、といった検討が必要です。
こうした調理方法の変更については、現在の調理手順について、
- ① なくせないか
- ② 一緒にできないか
- ③ 順番を変えられないか
- ④ 簡単にできないか
の4つの視点から見直しを考えてみましょう。ちなみに、機械化については、中小企業省力化投資補助金を活用した設備導入なども選択肢の1つですね。
お客様に選ばれる、喜ばれるメニューづくりはもちろん大切ですが、それと同じくらいにお店で開発したメニューについて「メニュー全体の最適化」や「効率的な調理方法」を生み出していくことも大切です。マーケティング・ミックスにおける「メニュー開発」については
- ① メニュー単品の開発
- ② メニュー全体の最適化
- ③ 効率的な調理方法の開発
といった3つの視点を持って、現状確認と今後に向けての展開を考えてみるとよいでしょう。
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