コラム

【連㉘】SNSを使ったお店のプロモーション戦略:“顧客ニーズ”を読み解き信頼を築く

コンテンツの作りやすさや表現の幅広さと性別年代を問わない利用者数の多さから、これまで主にInstagramを利用したSNSプロモーションについて語ってきた。ご存じのとおり、SNSは他にもたくさんある。そこで今回はあるSNS利用実態調査の結果を用いながら、Instagramに限らずSNSをどのようにお店のプロモーションに活かしていくのか。その戦略・戦術についてカンタンにではあるが触れてみる。

以下引用:株式会社メンバーズ メンバーズグッドコミュニケーションズカンパニー “SNS利用実態調査2025”

複数アカウント・目的別利用を前提としたチャネル戦略

まずはこの調査結果とその結果を受けた示唆を見てほしい。

①若年層の目的別利用とコンテンツ最適化::10代・20代の若年層は平均4.7個のSNSアカウントを保有しており、複数のSNSを目的別に使い分けていることが判明した。企業が生活者に効果的にリーチするためには、各SNSの特性と生活者の利用目的を深く理解し、コンテンツ戦略を策定することが不可欠である。

出典:SNS利用実態調査2025(株式会社メンバーズ メンバーズグッドコミュニケーションズカンパニー)

本調査によれば、10代・20代の若年層は平均4.7個ものSNSアカウントを保有。目的別に複数のSNSを使い分けている、とのこと。皆さんのスマホにもおそらくは、LINE、Instagram、Youtubeくらいは入っていると推測され、その事実からもピンとくる内容ではないかと思われる。

ということは。
あなたのお店のプロモーションにおいても、1つのSNSで投稿するより、あなたのお店の客層に合わせたSNS媒体選定やそのSNSの主な利用目的を理解してSNSプロモーションを行う必要がある、ということだ。

例えば、若年層が“気になる商品・サービスの情報収集”として活用しているのは、調査では X(旧Twitter)で18.8%、次いで YouTube が17.5%、とのこと。ここにビジュアル訴求に強い Instagram、短尺動画に強い TikTok など、端的な文言のみの投稿による即時性に強味のあるX(旧Twitter)など、各SNSの表現における特徴・強味を掛け合わせて考えると、おのずと答えが見えてくるはずだ。

宣伝色を抑え、顧客にとって“役に立つ”情報をまとめるコンテンツ設計を

本調査では、企業SNSアカウントに対して「活用が上手であれば好印象」と答えた生活者が33.8%に上る一方で、「宣伝中心の発信」には不快感を抱くという回答も出ている

出典:SNS利用実態調査2025(株式会社メンバーズ メンバーズグッドコミュニケーションズカンパニー)

これをあなたのお店のSNS運用に当てはめると。例えば、ただ「新メニュー登場」とだけ投稿するよりも、フォロワー、ひいてはあなたのお店の顧客が「自分にとってどんなメリットがあるのか」「結果としてどんなすばらしい体験が得られるのか」これを感じることができる情報発信を心がける、となるだろうか。
例えば、

・忙しいビジネスマンに向けて⇒「忙しい平日でも15分で贅沢気分が味わえるランチ」、「テイクアウトで自宅がレストラン空間に変わる」、そんなメニューとそれを魅せるコンテンツを

・食に対する一定のこだわりのある顧客⇒「季節限定・地元産食材を使ったこだわり料理」、「シェフが語る裏メニューのこだわり」、そんなメニューとこだわりを魅せるコンテンツを

といった形など。Q&A形式で「子ども連れでも安心?」「Wi-Fi/電源使える?」「ペット同伴は?」など、お店の顧客が抱きそうな疑問を来店前に解消するような投稿も効果的だろう。

このように、あなたのお店ならではの顧客ニーズに沿った“体験価値”をSNS上でも強調し、「あ、このお店なら行ってみたい」と思わせるコンテンツづくりを意識し、発信していくことを心がけるとよいのではないか。

一方で、多くのユーザーが「この内容の投稿は不要だな」と思うものについてもまとめられている。こちらも参考の上、コンテンツづくりに役立ててほしい。

出典:SNS利用実態調査2025(株式会社メンバーズ メンバーズグッドコミュニケーションズカンパニー)

投稿頻度・内容過多に注意し、フォロー解除を防ぐ

まずは以下、フォロー外しの理由についてまとめた結果を見てほしい。

出典:SNS利用実態調査2025(株式会社メンバーズ メンバーズグッドコミュニケーションズカンパニー)

本調査結果によれば、フォロー解除の理由として「期待する情報が得られない」「広告宣伝色が強すぎる」「投稿頻度が高く煩雑」が挙げられている。前者2つに対する対応は、前段ですでに語っているので割愛して。ここで触れたいのは”投稿頻度”について、である。

SNSを使っている皆さんならお分かりと思うがー基本的にSNSの利用は開いた画面「タイムライン」をずずーっと見進めるのが一般的。当然、気になるフォロワーもたくさんいるので、それらのフォロワーの投稿がずらずらと流れてくる。その中から、気になる投稿に目を留め、内容を確認し、価値ある情報であれば保存なりしつつその後の行動に活かすー皆さんもそんな使い方をしているはずだ。

もちろん、あなたのお店の投稿すべてが、顧客にとって真に価値あるものであれば、いくら投稿を作っても問題無い。だが、そんなことは現実的に不可能。顧客にとって、他のフォロワーだって価値ある情報を作っているのだ。それに常時勝ち続け”あなた一択”の状況を創り続けるなんてことは、非現実的なことではないか。

こう考えれば、投稿頻度の調整の必要性も理解できるのではないか。事実、調査結果からも高すぎる投稿頻度はフォロワー外しの原因の第2位である。

さて。そんなこと言われても、じゃあどんな頻度が適切なんだ?? という方向けに。以下に投稿内容とその頻度を一例として挙げておく。これが必ずしも正解とは限らないのだが、あくまで目安として捉えてほしい。

  • Instagramでお店のこだわりを魅せる写真投稿を週2〜3回、X(旧Twitter)で速報・キャンペーン情報を週数回
  • スタッフ紹介・お客様の声など、「人(柄)の見える」投稿も良いが、多くなりすぎないよう配慮(たまに投稿、くらいで)
  • 投稿内容・頻度がフォロワーの期待とずれていないか、反応を定期的にチェックし、「投稿数を減らす/内容を変える」といった見直しを

データを活用し、結果の分析・改善で“継続的な成果”を目指す

最後はやはり、これ。以前の記事でもお話したが、あなたのお店の投稿を最終的に意味のあるもの・プロモーションとしてふさわしいものにするのは、この磨き上げが必要不可欠。結局のところ、あなたのお店の投稿が顧客にとって意義のあるものかどうかは、のちの検証無くして分からないのである。

詳細は以前の記事(リンク有)に譲るが、どのSNSにもインサイトを見る機能が添付されており、いいねやフォローなどの数はもちろん、あなたの投稿を見ている性別年代、地域などの詳細までを確認することができる。これらを上手に使って検証を行い、コンテンツを磨き上げ、あなたのお店ならではの”勝ち筋”を見つけてほしい。

◆著者プロフィール◆
SUKESAN/著名メッセンジャーアプリの立ち上げに携わるなど、多くのWEBサービスの立ち上げからサービス成長までを担ってきたプロデューサー。WEB業界歴は20年以上。今は住まいを台湾に移し新たなビジネスの可能性を模索中。趣味:ロードバイク

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