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コラム

1. 補助金への理解を深めるー中小企業診断士が語る、店舗事業者が知っておくべき基礎知識


店舗事業という厳しい荒波に立ち向かう事業者様の一助になりたい。そんな思いから始めるこの企画では、日々多くの事業者様と向き合い事業支援を行う「中小企業診断士」をお招きして、店舗事業を行う上で知っておくべきことについてお話していきます。第一回は、最近注目されてきた感のある「補助金」に関するお話です。

補助金を取りたい! そんな相談、確かに増えています

ここ数年、中小企業支援の現場では「補助金を取りたい!」という相談を受ける機会が非常に増えています。筆者は2016年に中小企業診断士として独立開業していますが、この傾向が顕著になったのは2020年の新型コロナ感染症の後のことのように思います。

筆者が考える理由は大きく2つ。1つは、売上減少などの影響を受けた事業者に一律給付された「持続化給付金」。もう1つが最大1億円という補助金額でも大きな話題となった「事業再構築補助金」です。

それまでも補助金制度はありましたが、これをキッカケに広く多くの事業者の方に知られるようになったように思います。また、この時期にYouTubeやX(旧Twitter)などSNSを通じて補助金情報を発信する人が増えたことも要因としてあるかもしれません。

事業支援の現場から見た、補助金が広まった背景と現状について思うこと

冒頭にこの話をしたのは、国や地方公共団体が行っている中小企業事業者の支援策が広まったことを好ましく思う反面、「申請すればお金がもらえる」といった誤った理解で相談に来る方も非常に多くなったと感じているからです。せっかくの補助金制度も使い方によって良くも悪くもなります。

今回の連載では、多くの飲食事業を行う皆さまにより正しい理解をしてもらえることを目的に情報発信をしていきたいと思います。

補助金とは何か?ーまず補助金を正しく理解する

前置きが長くなりましたが、第1回目は「補助金とは何か?」について、改めて基本的な考え方についてお伝えします。「補助金」と「給付金」は似たような言葉ですが、その性質は全く異なります。まずは、これらの言葉の意味を正しく理解するところから始めましょう。


ちなみに、補助金や給付金という言葉の使われ方にもバラツキがみられるため、全ての制度で同じ意味で使われているわけではないことはご留意ください。このコラムは読んでいる皆さんが「わかりやすい!」と思ってもらうことを一番に考えているので、細かな内容は意訳していることもあることもご了承ください。

「補助金」と「給付金」の違いについて

先ほど、新型コロナ感染症下で「給付金」と「補助金」という大きく2つの支援が行われたことを書きました。これらの支援が同じ時期に行われたため、2つが混同して誤った理解をしている方が非常に多かったので、まずはこの言葉の違いについてお伝えします。

簡単に言うと、給付金は「条件を満たせば全員支給される」制度です。そのため、対象者の数が多く、1者あたりの給付額は小さくなります。一方で、補助金は「申請後、審査をされて採択された事業者に支給される」制度、言うならば「コンテスト」になります。そのため、対象者数は限定され、1者あたりの補助額は大きくなります。

補助金申請にあたって押さえておきたいこと

補助金制度は「コンテスト」だとすると、当然ながら「大勢のエントリーした人の中から選ばれる」ことが必要となります。ここで選ばれるために重要なアイテムが「事業計画書」ということになります。補助金の審査は書面のみの審査がほとんどですので、この事業計画書だけで、審査員に対して自社のアピールをしなければなりません。どれだけよい内容の事業をしようと考えていても、その魅力が審査員に伝わらなければ補助金の採択を受けることはできません。

次回は、この補助金申請を考える上で、事前に押さえておきたい5つのポイントについてお伝えします。補助金は採択されれば数十万円から数百万円、制度によっては数千万円という資金調達を行うことができる魅力的な制度ですが、事業者として正しく理解した上で取り組まないと「こんなはずじゃなかった」と後から後悔することも起きたりします。このコラムで、その基本的な考え方を理解していけば、そうした後悔も少なくなりますので、ぜひご期待ください。


いかがでしたでしょうか。この企画では今回のような形で、店舗事業者様が知っておくべきお話を基本を中心に分かりやすくご紹介していきます。今後にご期待いただくとともに、こんなお話おねがいしたい! というご希望などあればぜひ編集部までお寄せください。

今後ともよろしくお願いいたします。

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中小企業診断士 / 株式会社ワークライフスポーツ 代表取締役 稲垣秀行

事業者の方が「強く、やさしく、おもしろい」お仕事ができるよう、頭の中の整理から、事業計画の作成、その後のフォローまで伴走型でサポート。市役所の窓口相談では年間150者ほどの方からの経営相談を受けている。スポーツによる街の活性化がライフワーク。

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