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繁華街の受け皿として深夜も営業。特製パスタで小腹満たす客層の中身


九州一の繁華街から歩いてすこしあるが、深夜にもその灯りを求めて人が集まる。静かな住宅街で20年近く続くワケは、下町風情の地域に溶け込む経営手腕にあった。

■中州からは徒歩15分

 日本で最も古い住吉三神を祀る神社と言われる福岡市博多区の住吉神社。その神社のほど近く、かつては管弦町と言われた一角にあるのがダイニングバー『alta marea(アルタ・マレーア)」。イタリア語で「満潮」という意味だ。
 店は九州一の繁華街、中洲から徒歩15分程度の住吉宮前通りにある。周囲はマンションが建ち並ぶ住宅街で人通りもさほどなく、隠れ家的な店が多い。
「オープンは2006年2月で、もう18年も前のことになります。このあたりは住宅街ということもあり、今でこそ店の前の通りには20軒ほどの居酒屋や飲食店が並んでいますが、当時は5~6軒しか店がありませんでした」と話すのはオーナーの川﨑里美さん。福岡市から西に車で1時間ほどにあり、現在NHKの連続テレビ小説の舞台にもなっている糸島市出身。高校卒業後、兄の紹介でフレンチレストランで働いた。見様見真似ではあるが一通り料理についても覚え、いつか自分でお店を出したいという思いを抱いたまま結婚した。

▲店内にはアンティーク家具も多い

■450万円でオープン

 そんなある日のこと、夜道を歩いていると、ポツンと小さな明かりが見える。近づくとそこは居酒屋で、中から賑やかな声が響いてきた。その瞬間「ここに店を出したい」と忘れていた夢に火が灯った。偶然にも、それから間もなくその店が閉店。空き店舗となっていたため、その場で管理会社に電話して出店を決めたという。
「居酒屋からダイニングバーに変更するための改装は、DIYしたこともありますが、たまたま知り合いに大工と電気屋がいたため、内装費は100万円程度しかかからず、契約金や設備等で合計450万円ほどと、かなり安く済みました」
 オープン当初、昼はパスタランチの他、唐揚げやハンバーグなどを日替わりで出し、夜はダイニングバーだったが、約半年後、エアコンが故障して昼間の営業が難しくなったのをきっかけに夜の営業のみとなった。お客さんは近隣に住んでいる人が多く、年齢層も20代前半~70歳前後までと幅広い。男女比も半々で多くは常連さん。この店で出会った男女がカップルになり、結婚したカップルも少なくない。
「近隣のマンションに住む、単身赴任者も多いです。2、3年で転勤してしまうのは寂しいですけど、出張でこっちに来たから、と寄ってくれることもあって、そういう出会いは代えがたいものがあります」

▲モヒートにソルティドッグとカクテルも豊富

■地元の祭りにも名物パスタ

 営業は午前3時まで。近隣に深夜まで開いている店は少ないため、夜半過ぎもにぎわう。中洲勤めの女性や飲食店の店主のお客さんも多い。そんなお客さんの小腹を満たしてくれるのが、名物のミートナポリタンだ。オープン当初からある定番の商品で麺の量は200gと多めだが、女性もぺろりと平らげてしまう。「ここの明かりが灯っているのを見るとホッとする、と言われると、少しでも癒やしになっているのかと思い、お店をやっていて良かったと思いますね」

▲店の名物は特製のミートナポリタン

 売上は1日平均3万円。クリスマスやお客さんの誕生パーティーなどのイベントの時は10万円超えることもあるが、売上よりも、お客さんがホッと一息つける場所を提供してあげたいと川崎さん。そんな思いから地域との結びつきにも気を配る。住吉神社では毎年多くのイベントが行われるが、川﨑さんのご主人が実行委員長を務めるのが「住吉祭」で、近隣の数店に声をかけて露店を出している。店の名物ナポリタンをベースにした「ナポリ焼きそば」は好評だ。
 老若男女がアルタ・マレーアに集まるのは、そんな下町風情が残る町並みに溶け込んでいるからなのかも知れない。

◎店舗情報
店舗名:alta marea(アルタ・マレーア)
住所:福岡市博多区住吉2-16-9
電話:092-282-5808
アクセス:地下鉄七隈線「櫛田神社前」から徒歩6分
営業時間:20時~翌3時
定休日:毎週火曜日
席数:カウンター6席、テーブル席1(~10人程度)
喫煙可
HP:なし

※「福岡にある居酒屋」に関する記事は以下より

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