🔳『スイート・フィッシュ』と呼ばれる魚は?
現在の日本では一年中、食べたい物が手に入りやすく、「旬」というものをあまり意識しないもの。当企画では食べ頃を迎えている食材を紹介していきます。今回、紹介するのは清流に住む鮎です。
いらっしゃい!
『スイート・フィッシュ』と呼ばれる魚を知っていますか?
日本の多くの地域で6月から9月にかけて釣りが解禁される鮎のことです。スイカやキュウリに似ているとも言われる独特の香りを持つことが、そう呼ばせたのかもしれません。日本では『香魚(こうぎょ)』も呼ばれたりします。もっとも、鮎の生息地は日本を中心とした東アジアの一部であるため、ヨーロッパなどでスイート・フィッシュと言っても通じないことが多いかもしれません。
『年魚(年魚)』とも言われる鮎は秋に河川で生まれると、下って海に出ます。海岸沿いの浅い場所で冬を越し、年が明けて春になると河川を遡上。中流域で夏場を過ごし、秋になると下流域に下がって産卵し、たった1年の生涯を閉じます。年魚と言われる所以です。
夏の風物詩の一つに数えられる鮎はあっさりした味が持ち味。さらに、食べやすいだけでなく、実は栄養価の高い魚でもあります。カルシウムやリンが豊富なだけでなく、カルシウムやリンの吸収を高めるビタミンDも多く含むため、骨粗しょう症予防に効果があるとされています。
また、コレステロールや中性脂肪を減らす働きをするドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)も含有し、苦味のある内臓にはビタミンAなど、さまざまな栄養素がバランス良く含まれています(DHAもEPAも体内では合成できないため、食品から摂取)。とりわけビタミンE、ビタミンB12、ビタミンDはほかの魚よりも含有量が多いとされています。
主な栄養素の効能を見ていきましょう。
・ビタミンE
高い抗酸化作用があり、細胞の酸化と老化を防ぐ効能が期待できる栄養素。末梢血管の拡張、血行促進により体の冷えやコリ、血色の改善にも効果を発揮する。魚類の中でトップクラスの含有量を誇るのが鮎
・ビタミンB12
葉酸とともに働き、悪性貧血や胎児の先天性障がいの予防や改善効果を期待できる栄養素とされている。神経機能の正常化、集中力の向上、うつや気分の落ち込みを改善する作用もある
・ビタミンD
カルシウムの吸収を促し、骨から流出するのを防ぐ
🔳天然の鮎と養殖の鮎では見た目と含む栄養素が異なる
さて、天然の鮎と養殖の鮎はいろいろな点で異なります。
まず、見た目。流れが速く、厳しい自然の中で育った天然の鮎は各部のヒレが大きく、胸ビレの後ろに黄色い斑点があります。一方、人間に餌を与えられる環境で成長した鮎は天然ものよりも大きくて全体的に丸みを帯び、胸ビレの後ろに斑点がありません。一般的には、天然ものと養殖ものを見分ける上ではヒレの大きさを基準にします。
栄養バランスの良い餌を食べて育った養殖の鮎は全体的に栄養価が高く、良質な脂質が天然ものの3倍、内臓に含まれるビタミンAは4倍になります。一方、ビタミンB12は天然ものに多く、18歳以上の男女に推奨されている1日の摂取量が1匹で摂れるとされています。
鮎の料理と言えば、塩焼きや天ぷらを真っ先に思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、トマトで煮込んだもの、あるいはコンフィやソテーにしても美味しく食べられます。
飲食店の方はぜひ、いろいろな方法で調理してインスタ映えに挑戦して集客力アップを図ってみてください。
ありがとうございました!
監修/●●●●
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