リポート&リサーチ

【リサーチ】人気Youtuberである『脱・税理士スガワラ』くんが「最低賃金引き上げと中小企業クライシス」を解説!②


登録者数128万人超のYouTubeチャンネル『脱・税理士スガワラくん』を運営する税理士の菅原由一さんが、20歳以上60歳未満の労働者400名を対象に最低賃金についてのアンケート調査を実施。結果、最低賃金の認知不足だけでなく、「上がっても実感がない」という生活者の声が聞こえてきたという。

■最低賃金法を知っている?

 ご存じの方が多いかと思うが、最低賃金には法的拘束力がある。日本では『最低賃金法』に基づき、国が定めた最低賃金額を下回る賃金を支払うことは法律違反となる。使用者(雇用主)は、労働者に対して最低賃金以上の賃金を支払う義務があり、これを守らない場合には以下のような法的リスクが生じる。
◎法的拘束力と違反時の罰則
最低賃金を下回る賃金の支払いは違法:最低賃金法第4条により、使用者は最低賃金以上の賃金を支払わなければならないと定められている。
罰則の対象:違反した場合、労働基準監督署から是正指導を受けたり、罰金(最大50万円)が科される可能性がある。
民事上の責任:労働者から未払い賃金の請求を受けることもあり、企業の信用低下や離職につながるリスクもある。

 という厳しい制度なのだが、以下のQ&Aを見ると認知度はかなり低いと言わざるを得ない。

Q:「あなたの居住地もしくは勤務地の最低賃金の適用開始日を知っているか?」

Q:「最低賃金の引き上げは、あなたの生活にプラスの影響があると思うか?」


「とてもプラス」(10.0%)
「ややプラス」(23.5%)
「変わらない」(60.3%)
「ややマイナス」(3.5%)
「とてもマイナス」(2.8%)

 最後に菅原由一さん見立てを紹介しておこう。

●生活者への影響
 最低賃金が引き上げられても、労働者の手取りは減ります。これは、社会保険加入対象の拡大によるものです。これまで社会保険に加入していなかった層も新たに加入が必要となり、給与の約15%が保険料として差し引かれるため、実際の手取りが減少してしまうのです。
 一方で、税制上の「年収の壁」は160万円に引き上げられ、一定の負担軽減効果があるものの、社会保険料の増加分が上回るため、生活改善にはつながりにくい状況です。
 最低賃金の引き上げと並行して、社会保険制度の見直しを行わなければ、労働者の可処分所得の向上には結びつかない可能性があります。

◎調査概要「脱・税理士スガワラくん 調べ」
調査期間:2025年10月3日
調査手法:インターネット調査
調査対象:20歳以上60歳未満の正社員、契約・派遣社員、パート・アルバイトの男女全国
有効回答者数:400名(5歳刻みに各50名)
調査機関:Freeasy

※「最低賃金引き上げと中小企業クライシス」の前編は以下より

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