前回は「マーケティング=売れる仕組みづくり」というお話しました。今回はその「売れる仕組み」をどのようにつくっていけばよいか、マーケティングの基本戦略についてお伝えしていきたいと思います。マーケティング計画を考える上での基本戦略は「お客様は誰ですか?(誰に)」と「どんな価値を提供しますか?(何を)」の2つです。
【誰に】あなたのお店に来てくれるお客様はどんな方々ですか?
この質問を飲食店の方に尋ねると「色々な人が来てくれます」と言われる方が多いです。確かにそうなのですが、マーケティングとして考える時には、ある程度グループ分けしていくことが最初に取り組むことになります。
わかりやすい例で言えば、「男性が多いのか、女性が多いのか」「若い方が多いのか、シニアの方が多いのか」といった性別や年齢で分けたり、「オトク感のあるボリュームあるものを食べたい」とか「栄養バランスの取れた食事をしたい」といった食の好みや、「近所の人なのか、観光客なのか」といった地理的な分け方もできそうです。
最初は正確にわからなくても、来ているお客様を観察しながら、記録として残していくことで、「あ~、ウチのお店ってこういう人たちが多いんだ」という特徴を見つけていく。まずは「お客様のことを詳しく知る」ことが、施策を考える上で最も大切です。
【何を】あなたのお店によく来てくれるお客様は、どんな価値を感じているのだろう?
「お客様が誰か?」を明確にしたら、次は「そのお客様がウチのお店を選んでくれている理由は何だろう?」と考えてみましょう。この「選んでくれている理由」が、その人があなたのお店に感じている「価値」と言ってもよいでしょう。
お客様が食事に求める理由は様々です。「とにかくお腹が満たされればよい」、「有名な料理を一度食べてみたい」といった料理そのものもあれば、「安いから」という価格(コスパ)、「近いから」という立地、「落ち着いた空間で食事を楽しみたい」という雰囲気、「10回行くと、煮卵1個無料」のようなサービスといったものまで、お客様の側から考えてみることで、色々と見えてきます。
とはいえ、これらお客様の要望を全て満たすことはできません。そうなると、「誰の」「どんな要望」に応えるお店にしていくのかを「決める」こと大切です。これは「やることを決める」と共に「やらないことを決める」ことでもあります。
もしかしたら「決めて間違ったらどうしよう」という不安を抱く人もいるかもしれません。しかし、やってみて想定と違うことが起きた時には、もう一度やり直せば大丈夫です。あまり重たく考える必要はありません。まずは仮置きでもよいので、決めてみましょう。
「誰に」と「何を」を決めることで、具体的な施策を考えやすくなる
最近はSNSを利用した集客施策をよく目にすると思います。ただ、自宅のポストに「新店オープン」のチラシが入っていることはありませんか? 一見、昔ながらのやり方であるポスティングが今も行われているということは、何かしらの効果があるはずです。
ネットでは、当然ネット広告やネット集客という話題が多くなりがちです。こうした施策について、例えば「近所のおじいちゃん、おばあちゃんに、井戸端的に使ってもらえるお店がやりたい」という場合、それでもネット集客をやった方がよいでしょうか? 逆に、「遠くから観光地に遊びに来たついでにお店に来てもらいたい」という場合に、近所にポスティングをするやり方は適切でしょうか?
自分のお店が大切にしたいお客様がいて、そのお客様が求める価値を提供する。その方法として、「どんなメニューで、どんな価格帯にするか」、「どんな場所にお店を構え、どんな集客施策を打つか」は全て変わってきますので、しっかりと自分のお店のマーケティング基本戦略を考えてみましょう。
すでに長くお店を続けてきた方も、「これまでお客様に愛されてきた理由」について、改めてマーケティングの観点から、書き出してみてはいかがでしょうか?色々な気づきを得られると思います。
コメント