北海道産の日本酒を飲んだことはあるだろうか? 北海道直送の魚介類や肉、そして野菜だけでなく日本酒も楽しめる店が鎌田にある。北海道旅行気分にちょっと浸れる店舗を訪問した。
■選べる盛り合わせが好評
JR蒲田駅近くのサンライズモールに『北海道直送 とと蔵ねむろ』はある。間口が狭く、見逃しそうになるが、扉の向こうには1階から3階まで「北海道」があふれている。
こだわっているのは産地直送。魚介類は主に札幌中央市場から、野菜は契約農家から入手し、旬の食材を揃えている。ただし、高騰する輸送費だけでなく、時化などで魚介類が入荷できなかったり、他地域の食材を使いにくかったりなどの気苦労もあって「(こだわりは)自分で自分の首を絞めている」と運営会社の専務取締役でもある中台尚文さんは笑う。それでも、ランチでもディナーでも北海道を満喫してほしい。

「”選べる”お造り盛り合せ」(2種~6種)もそうした思いから生まれた。盛り合わせにはあまり好きではないものが入っていたりするが、そうしたことを避けられると好評だ。ちょっとした贅沢も味わえる。例えば、3種盛りは1280円だが、少しプラスすれば甘えびなどの高い食材も加えられる。単品での注文は持て余すお一人様や2、3人の客には嬉しいサービスだ。店舗とすれば、単価を上げられるメリットもある。
■食べやすく美味しい蝦夷鹿
魚介類以外も充実している。
十勝地方は養豚業が盛んであり、十勝地方の帯広市は豚丼発祥の地と言われるほど。ランチでは直送の豚肩ロースを使った十勝豚重を提供している。今ではジビエの蝦夷鹿も人気食材の一つだが、「当初は、高タンパク・低カロリーでアピールしてもオーダーが入りませんでした」。
ジビエ食材は癖が強いという先入観が原因だったが、『とと蔵ねむろ』の蝦夷鹿は一味違う。直接取り引きしている養鹿場『ユック』では、生け捕りした蝦夷鹿をミネラル豊富な牧草が食べられる状況で放牧しているから特有の獣臭が抜ける。しかも敷地内にある施設で丁寧に加工して誰もが楽しめる品質に仕上げている。鹿肉ローストを筆頭に蝦夷鹿のリピート客は増えている。

2012年の開店時から大きく変わったのがドリンクだ。料理と並び立つ武器として北海道産の日本酒を揃えるようにした。「『北海道の日本酒?』と思う方がいるかもしれませんが、クオリティーはどんどん上がっています」と利き酒師の資格を持つ中台さんは太鼓判を押す。
北海道産の米はいま一つというのは過去の話。現在では、『ななつぼし』や『ゆめぴりか』という特Aランクの銘柄があり、『吟風(ぎんぷう)』、『彗星(すいせい)』、『きたしずく』といった酒米は高評価を得て本州の酒蔵でも使われている。美味しい北海道の水と結びつけば、うまい日本酒にならないわけがない。
北海道産日本酒の定番3銘柄とおススメ5、6銘柄という品揃えは他店を圧倒。アルコール販売の約3割を日本酒が占めることは客の舌を満足させている表れだ。

■手書きのイラストでアピール
コストアップに直面しながらもコツコツやってきた甲斐もあり、2025年はすべての月で前年売上を上回った。とは言え、売上をさらに伸ばし、店舗数を増やしていくためにも「認知度アップ」が欠かせない。
若い従業員の感性でSNSを充実。いいイメージを抱いてもらえる北海道というブランドを活かしつつ、知られていない食べ方や斬新なメニューで人々の興味を引くために「基本的には北海道の食材使えばいい」方針でアイディアを募る。
関東では見慣れないニシンの刺身を提供する際には、女性従業員が手書きのイラストでアピール。北海道を中心に自生するハスカップを使った生ハスカップサワーや凍らした赤肉メロンのペーストを入れた生メロンサワーなど、「新しい北海道」も生まれた。
スタッフが一丸となり、北海道の食材や味覚と真摯に向き合う。訪れるたびに、新たな魅力に出会えそうだ。

◎店舗情報
店名:魚蔵 ねむろ 蒲田駅前店
住所:東京都大田区西蒲田7-66-3 清宮ビル
アクセス:JR京浜東北線ほか蒲田駅「西口」より徒歩2分(蒲田駅から155m)
営業時間:月・火・水・木・金(1100-1500/L.O.1430、1630-2300/L.O.料理2200&ドリンク2230)、土・祝日(1100-2300/L.O.2200)、日(1100-2200/L.O.2100)
定休日:不定休
席数:58席(1階:カウンター8席、2階:テーブル22席、3階テーブル26席)
※「『そら豆』(東京・蒲田)飲食激戦街の片隅に根を張る『お茶の間バー』」に関する記事は以下より

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