帝国データバンクは、食品メーカー主要195社における価格改定動向について調査を実施。「食品主要195社」の価格改定動向を発表した。
🔳値上げラッシュは小休止も懸念材料あり
◎調査結果(要旨)
- 8月の値上げ、パック牛乳など1102品目 7カ月ぶりに前年から減少
- 8月は「調味料」が最多の409品目 パック牛乳など「乳製品」も200品目超が値上げ
- 身近な日配品の値上げ、消費者の「インフレ実感」より強まる見込み
※品目数および値上げは、各社発表に基づく。また、年内に複数回値上げを行なった品目は、それぞれ別品目としてカウントした。値上げ率は発表時点における最大値を採用。なお、価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含む
※対象期間:7月31日9時時点
※調査機関:株式会社帝国データバンク
🔳8月の値上げ、パック牛乳など1102品目。 7カ月ぶりに前年から減少
家庭用を中心とした飲食料品のうち、2023年8月に値上げする品目数は1102品目となり、2022年年8月(2516品目)から約1400品目の減となり、4割の水準にとどまったほか、今年1月以来7カ月ぶりに前年同月を下回った。22年8月に実施された値上げ品目のうち、大部分を占めた「かまぼこ」や「はんぺん」などの水産練り製品や冷凍食品などの分野でまとまった値上げがなかったことが要因で、8月単月の品目数を押し下げた。一方で、23年8月に値上げされる食品は、乳価改定の影響を受けてパック牛乳やヨーグルトなど乳製品のほか、だし製品など調味料やジュース、シリアル製品、駄菓子など多方面にわたる。
2023年通年の値上げ品目数は、すでに実施されたものや今後予定するものを含め、累計で3万710品目。2022年通年の2万5768品目をすでに上回り、年間累計としてはバブル崩壊以降で類を見ない記録的な値上げラッシュとなった。
2023年9月以降の推移をみると、9月は味噌など調味料や菓子を中心に約2000品目が予定されているほか、10月は日本酒やワインなど、酒類を中心に4000品目を超え、4月以来半年ぶりに5000品目超えの値上げラッシュとなる可能性がある。同月の平均値上げ率も年内で最も高い17.5%と、大幅な価格引き上げが予定されている。
年内の値上げは、原材料価格の急激な価格上昇ペースが落ち着いたことを背景に10月を最後に一旦ピークアウトし、累計では2022年より1万品目多い3万5000品目前後が想定される。ただ、電気・ガス代に加え、プラ製包装資材、物流費の増加などのコストアップ要因は残っており、値上げは緩やかながらも断続的に続くとみられる。
🔳8月は「調味料」が最多の409品目 パック牛乳など「乳製品」も200品目超が値上げ
2023年8月の値上げは、「調味料」(409品目)が全食品分野で最多だった。品目数で調味料が最多となるのは6月以来2カ月ぶりとなる。鍋つゆ製品や削り節など、だし関連製品を中心に値上げとなった。「乳製品」(265品目)はパック牛乳やヨーグルトなどが対象となった。
2023年通年では、全7分野で前年を超えた。最も多い「加工食品」は全食品分野で唯一1万品目を超えた。「菓子」(2099品目)は、輸入小麦粉や生乳、粗糖のほか、チョコレートの原料となるカカオ豆など菓子生産に必要な原材料価格が上昇したことが影響した。「原材料」(799品目)は、欧州の熱波や干ばつの影響を受けたオリーブオイル製品の大幅な値上げが目立つ。
🔳身近な日配品の値上げ、消費者の「インフレ実感」より強まる見込み
足元では、高い上昇率が続く食品の値上げに対して消費者の購買力が低下する「値上げ疲れ」が鮮明になっている。特に8月の値上げは、パック牛乳など、価格の変動に敏感な日配品が中心であるため、値上げ品目数以上に消費者が「インフレ」を実感しやすい。価格の上昇に対する消費者マインドが寛容さを失いつつあり、生活防衛志向や値上げ疲れがより進行する可能性がある。
一方、足元では輸入原料を中心に価格の変動が落ち着きつつあり、複数回に及ぶ値上げを実施してきた食品メーカーでは相対的にコスト対応力が高まり、人件費など、一部の「値上げ圧力」について吸収が可能となる傾向も出始めている。ただ、ウクライナ産小麦の動向や電気・ガス料金の負担軽減策など、先行きの不透明感は強く、2024年以降も断続的な値上げが続くとみられる。
引用元:PR TIMES(https://prtimes.jp/)
※7月の調査結果に関する記事は以下より
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