前回は、事業計画書を作成する目的について、融資や補助金申請の際に押さえておきたいポイントをお伝えしました。今回は事業計画書の「書き方」の基本をお伝えしていきたいと思います。
事業計画書には様々な様式があり、融資や補助金申請など目的に合わせてそれぞれ指定された様式もあれば、様式自由で書くこともあります。これまでに事業計画書を書いたことがない方からすると、「そもそも事業計画書って何を、どのように書けばいいの?」というところからスタートします。しかし、心配する必要はありません。まずは基本の型を知り、その型を使って、ご自身の事業について書き出してみることから始めましょう。
事業計画書に書くべき項目とは? ー 自己紹介(理念、経歴・業績)
前回も触れましたが、読者はあなたがどんな人物かを知りません。創業前であれば、創業者として個人のことを。すでに事業を始めている方であれば、これまでの自社の取組みについて、まずは「自己紹介」をします。内容としては「事業の簡単な紹介」「この事業に取り組む理由や目指している姿(理念)」「これまでの経歴や業績」などを書きます。
事業計画書に書くべき項目とは? ー 現状分析(強み、弱み、チャンス、ピンチ)
次に、客観的な視点で、自社を取り巻く現状について、整理してみましょう。今の事業がお客様に評価されているポイント(強み)や、事業を行う上で苦手としているところ(弱み)。これから事業を継続していく中で、チャンスだと思える出来事(チャンス)、逆にこの状況が続くとピンチになると思う出来事(ピンチ)に分けて書き出します。
経営分析について学んだことがある方には「SWOT分析」と言えば、ピンとくるでしょう。
事業計画書に書くべき項目とは? ー 実施内容(誰に、何を、どのように)
「自社の目指している姿」と「現状」との間に存在するギャップのことを「課題」と言います。その課題を解決するために取り組む事業があり、その事業を行うために設備投資が必要です。この設備投資に必要な資金調達手段として「融資」や「補助金」がある。この流れを意識して文章を書いてみましょう。
この実施内容を書く際には、マーケティングの知識を活用して、「誰に(ターゲット顧客)」「何を(顧客への提供価値)」「どのように(製品、価格、販路、販促方法)」などに整理して書くようにすると、より理解されやすくなります。
事業計画書に書くべき項目とは? ー 各種計画(行動計画、組織体制、数値計画)
上で書いた実施内容をどのように実行していくか、行動計画(何を、いつやるのか)と組織体制(誰が、何をやるのか)を明確にすることで、実行性が高いかどうかが判断できます。また、これらの施策を行うことで、売上や利益をどのように増やしていくのか。設備投資のために必要な資金をどのような手段を調達するのかといった数値計画を書くことで、計画の実現性が高いかどうか見えてきます。
施策が「絵に描いた餅」で終わらず、具体的な行動に落としこめるかがポイントですね。
事業計画書を作成する上でのポイントは、「まずはざっくりでいいので全体を埋めてみる」ことです。自己紹介から順番に、精度を高めてから次に進もうとすると、中々先に進めません。箇条書きでも構わないので、粗々の状態で全体像を書き出してみましょう。
最初からうまく書ける人はまずいません。精度や品質は後から高めていけばよいので、とにかく全体を書き出してみましょう。もし「うまく書けない」という場所があれば、そこはご自身で具体的なイメージができていない場所であるとわかります。
「何を書けばよいかわからない」から、「何は書けて、何はうまく書けないかは気づいた」という状態に変わるだけでも大きな変化ですので、ぜひやってみましょう。
※「中小企業診断士コラム③」は以下より
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