前回は、補助金と給付金の違いについて、「補助金はコンテスト」であることをお伝えしました。前回は補助金と給付金の基本的な違いを解説しましたが、今回は補助金を上手に活用するための具体的なポイントをご紹介します。
補助金は投資金額の全額をもらえるわけではない
補助金を活用したい場合は、まず「補助金額」と「補助率」を確認しましょう。例えば120万円の設備を購入する場合、補助率が2分の1なら60万円、3分の2なら80万円が対象額になります。
また、補助金額の上限について。例えば「補助金額200万円、補助率2分の1」の場合、
- A. 投資額が300万円の場合⇒ 補助率2分の1が適用され、補助金額は150万円に
- B. 投資額が500万円の場合⇒ 補助金額は補助金額上限の200万円まで
となります。
補助金は交付決定後に発注したもののみ認められる
補助金は一般的に「交付決定後に発注したもの」しか対象になりません。補助金は申請締切後、一定の審査期間を経て採択が発表されます。その後、交付申請という手続きをさらに行った上で、「交付決定」が出されることで、ようやく発注ができるようになります。
補助金はタイミングを事業者側の都合で決めることはできませんので、あらかじめスケジュールをきちんと考えておくことが大切になります。
補助金が振り込まれるのは事業完了後となるため、資金繰りの役には立たない
補助金が振り込まれるのは、補助事業が全て完了した後になります。補助事業の実施期間は6か月から1年程度行うことが多いと思います。そうなると、実際に補助金が入金されるのは早くても1年後くらいになります。当然、補助事業を開始する際に設備等を購入するので、その際は自己資金で行うか、金融機関から融資を受ける必要があります。
実は、補助事業の採択を受けても、この最初の資金調達がうまくできずに、採択を辞退する事業者の方もそれなりにいますので、この点はよく理解しておきましょう。
補助金で購入できるものが限定されている
補助金では、それぞれ「補助対象経費」として、どのような経費が対象となるか示されています。購入したい設備等が対象かどうか最初に確認しましょう。
また、補助対象外となるものも公募要領に示されていますので、合わせて確認しておきましょう。「車両」や「PCやカメラなど汎用的な用途で使用できるもの」などは補助対象外となることが多いです。あと、クラウドサービスなど継続的に費用が発生するものが対象となる場合も、「補助事業期間中」と限定されることが一般的です。
補助事業終了後も、継続して報告を求められるものが多い
補助金に取り組む上で、意外と大変なのが「事務処理」です。申請までもそうですが、採択後の交付決定、補助事業実施の完了報告、完了後も5年間ほどの継続報告を求められるものや、補助事業に関する会計帳簿類を別に管理するなど、いろいろな手続きが発生します。
これらをすべて最初に理解する、というのは中々大変ですが、税金が投入される事業であることから、求められる事務手続きを適切に実施していくことも大切になります。
以上は、どの補助金制度であっても、利用する際に最初に確認すべきポイントです。一方で、補助金制度は数多く存在し、それぞれに特徴もあります。その意味では、申請したい補助金がある場合は、必ずその補助金の公募要領を確認するようにしましょう。
次回は、補助金申請や融資の際になぜ事業計画書を求められるのか。その理由についてお伝えします。
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