SDGsやサステナブルをはじめ、個人事業者が知っておいても損しないキーワード、事業に活用できそうなフィロソフィーは少なくない。【知っておきたいキーワード】シリーズでは、事業のアピールポイントにできそうなコンセプトの概略を紹介する。
🔳国際連盟から勧告を受ける
いらっしゃい!
インクルーシブという言葉を耳にしたことがないだろうか? 「包括的な」や「すべてを包み込む」といった意味の英単語。最近、よく使われるインクルーシブ社会とは、構成員の多様性を重視し、尊重する社会。さまざまな背景、アイデンティティ、能力、差異を問わず、すべての人が平等に社会に参加して貢献し、繁栄する機会を得られるようにする社会である。ちょっと難しそうに聞こえるが、誰もが分け隔てされることなく、同じように生活できることを目指す社会と言える。
2022年9月に「日本はインクルーシブ教育に反している」と国際連盟から勧告されたこともあり、今後いろいろな面で改善の動きが見られると予想される。
では今回は、レストランをケース・スタディにしてインクルーシブを考えていこう。
🔳みんなに優しい環境
身体に障害を持つ方々に対する配慮は最初の一歩と言ってもいい。具体的には、車いすでも利用しやすいスロープやエレベーター、移動補助具に対応した座席配置や移動しやすい通路などが含まれる。また、視覚障害のある来店者に備え、点字のメニューを用意してもいいだろう。
🔳多様なメニュー
レストランであれば、メニューにおけるインクルーシブも忘れてはいけない。ベジタリアン、ビーガン、グルテン・フリー、アレルゲン・フリーなど、さまざまな食の嗜好や制限に対応できるメニューを提供すれば、いろいろな食のニーズを持つ人々を歓待できる。多くのメニューを用意するのが難しければ、食事に関する情報をしっかりと公開する、あるいは客の要望に応えることでも嗜好や制限にある程度は対応可能だ。
🔳スタッフ研修
スタッフに対する教育も欠かせない。多様な背景を持つ顧客とうまくコミュニケーションする、異なる能力を理解する、そして文化の違いを認識して受け入れるにはそれなりのトレーニングが必要になる。それがあってこそ、すべての来店者に適切な支援とサポートを提供し、ポジティブな食事体験を提供できるのである。
🔳静かで感覚に優しい空間
中には敏感な五感を持つ人もいる。そうした人々に居心地の良い空間を提供するように心がけることでレストランに価値を高め、関心を引ける。例えば、大きな音や明るい照明をできる限り排除し、リラックスできる空間を演出。このような配慮は、自閉症や感覚処理障害を持つ方々にとっても選択理由になる。
🔳地域社会との関わりとイベント
地域社会と積極的に関わることでもアピールできる。多様な文化的伝統を祝うイベントを開催したり、地元の団体と協力して社会的活動を支援したり、地域の集まりにスペースを提供したりして貢献。さまざまな背景を持つ人々を迎え入れられる場所になれる。
インクルーシブの実現方法は、物理的な便宜の提供だけではない、接客や地域との関わり方などのソフト面を通じての実現も可能だ。インクルーシブという概念を念頭に置いて意識し続けることで店舗のアイデンティティを確立し、誰にでも居心地のいい空間を作れれば、集客アップにつながるだろう。
ありがとうございました!
参照:
https://www.un.org/esa/socdev/documents/compilation-brochure.pdf
https://lordslibrary.parliament.uk/building-an-inclusive-society-in-the-post-pandemic-world/
https://rddmag.com/design/3286-designing-an-inclusive-restaurant
※「SDGsな紙」に関する記事は以下より
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