当メディアでは再三にわたり店舗運営(主に飲食店や小売業)におけるAI活用の有効性についてお話してきた。一方で日々の忙しい業務の合間で、具体的なAI活用法の提示もない中「じゃあAI使ってみようか」とはなかなかならぬであろうことも事実。ならば、ということで。今回は飲食店や小売業における、特にSNSマーケティング側面でのAI活用について、具体的事例も交えながら紹介していく。
■飲食店・小売業でAI活用が進む理由ーSNS運用を”続ける”ための効果的手段
特に飲食店や小売業のSNS運用では、「人手(≒工数)不足」「投稿ネタ不足」、そして以上により「運用が続かない」といった課題が存在しているはず。一方で、これらの課題を一気に解決できるであろうツールこそAIであり、そうした背景からAIを活用したSNSマーケティングが広がりつつある。
中でも、特に注目されているのが投稿作成からその分析・改善までをAIで補助する運用スタイルだ。
たとえば投稿作成。ChatGPTなどの文章生成AIを使い、メニュー紹介文やキャンペーン告知文を「適切な指示=プロンプト※」を用いることで短時間で作成するのだ。同様に小売業でも、新商品の紹介文やセール告知をAIで量産し、投稿頻度を担保することが可能だ。
※プロンプトの事例はこちらのリンクより確認ください
断っておくが、SNSマーケティングにおけるAI活用は「手を抜くため」ではなく、「続けるため」の手段。限られたリソースでも成果を出すための現実的な選択肢として、飲食・小売業との相性は非常に高いはずだ。
■AI活用で投稿文の作成を効率化:飲食・小売の実践活用例①
SNS運用で時間がかかる作業の一つが「投稿文(キャプション)」の作成。ここの業務効率化に大きく貢献するのが ChatGPT などの生成AIだ。たとえば飲食店では、料理写真に添える説明文、季節限定メニューの紹介、キャンペーン告知文などを、AIにより効率的に作成することが可能となる。
たとえば「ランチ限定メニューを女性客向けに紹介したい」といった条件を入力すれば、トーンまでを調整した文章案を生成可能。その際に、メニュー内容詳細をお店のホームページのURLを参照させたり、女性客のイメージをより具体化しつつ、前段で申し上げた”プロンプト”に落とし込んで指示すれば、かなり精度のある文章が完成することと思う。
ただしここで重要になるのは、AIが作った文章を適宜推敲し、語尾や表現を少し調整して「自分のお店らしさ」を加えること。ChatGPTなどのAIを下書き作成ツールとして使うことで、投稿作成時間を大幅に短縮しながら、品質を担保したSNS運用が可能となる。
■画像生成AIで写真投稿を量産する:飲食・小売の実践活用例②
今、SNSマーケティングで汎用されるInstagramは画像や動画メインのSNS。であるが故、SNSマーケティングにおいては「画像や動画のクオリティ」が成果を大きく左右する。そして、ここでも活躍するのがAI(画像生成AI)。たとえばCanvaを使えば、あなたの使用したい料理写真や商品写真に文字や装飾を加えた投稿画像を、デザイン知識が無くてもカンタンに作成することが可能だ。
飲食店では、撮影した料理写真に保存率向上の寄与すると言われる「期間限定」「人気No.1」といった文字を入れて複数のデザイン案を作成する。小売業では、セール情報や新商品情報をテンプレート化し、誰がやっても同じクオリティで投稿できる体制を作る、そんな事例が増えつつある。
また、イメージ画像が不足している場合には、画像生成AIを使って「雰囲気写真」を作成する、なんてことも可能。実写と組み合わせて使うことで、お店の世界観を統一したアカウント運用が可能となるのだ。
■動画AIでリール・ショート動画を効率的に制作:飲食・小売の実践活用例③
SNSマーケティングにおけるトレンドとして欠かせないのが、リールやショート動画。しかし一からの動画制作は非常にハードルが高いのも事実だ。そして、ここでも活用したいのがAI。CapCutやAdobe Expressといった動画編集AIを活用することで、難しいショート動画もカンタンに作成することが可能となる。
作成に必要な動画素材は、飲食店ならば調理風景や料理の完成シーンをスマホで撮影。こうして集めた動画素材を動画AIで編集、自動カット・テロップ挿入を行うことで効率的にショート動画を作成することが可能だ。小売業でも、商品を手に取る様子や使用シーンをショート動画にまとめ、リール投稿に活用する。
このように、先に例示した動画AIを使えば、専門的な編集スキルがなくてもある程度のクオリティを持った動画が作成可能。何より重要なのは完璧な動画を目指すことではなく、まずは動画AIを使用して「投稿頻度を上げる」こと。効率よく動画を創り継続的に発信し続け、発信した動画の効果検証をこれまたAIを用いて行うことで、作成する動画がどんどん完ぺきに近づいていくのだ。
■インサイト×AIで改善し続け、SNSの勝ちパターンをつかむ:飲食・小売の実践活用例④
文章・画像・動画、それぞれの作成にAIを使用して投稿したら、最後に行うのは出した投稿の効果検証。ここでもAIの利用を促したい。Instagramインサイトや各種分析ツールとAIを組み合わせることで、「何が理由で伸びたのか」を客観的に把握することが可能となる。最近では、「数値データをChatGPTに入力して改善案を出させる」、そんな運用も増えている。
たとえば飲食店では、「料理写真」と「調理動画」どちらが保存されやすいかをAIに分析させ、次月の投稿方針に反映する。たとえば小売業では、「曜日・時間帯別の反応をAIで整理し、投稿スケジュールを最適化する」という風にお店を運営するあなたがAorB、どちらか迷うような事柄についてAIに問いかけ、その答えに向けた示唆をもらうのだ。
ここでもポイントとなるのは、AIは「答えを出す存在」ではなく、「考える材料を整理する存在」、答えに向けた示唆出しをしてくれるパートナーであるということ。数字を感覚で判断せず、AIと一緒に改善を回すことで、飲食・小売業でも再現性の高いSNSマーケティングが実現可能となるはずだ。
◆著者プロフィール◆
SUKESAN/著名メッセンジャーアプリの立ち上げに携わるなど、多くのWEBサービスの立ち上げからサービス成長までを担ってきたプロデューサー。WEB業界歴は20年以上。今は住まいを台湾に移し新たなビジネスの可能性を模索中。趣味:ロードバイク

※「【連載㉘】SNSを使ったお店のプロモーション戦略」に関する記事は以下より

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