コラム

21.(販促)多様な施策の組合せ方 :中小企業診断士が語る、店舗事業者が知っておくべき基礎知識

前回までは、マーケティング・ミックスの「製品」「価格」「販路」についてお伝えしてきました。今回は、いよいよ最後の「販促(販売促進)」です。どんなに良い商品を適切な価格で提供していても、お客様に知ってもらえなければ売上にはつながりません。「販促≒お店の情報」の伝え方を考えてみましょう。

まずは「お店のことを知って欲しい人は誰か?」を明確にする

最近の販促というと「SNSを使おう」という話をよく聞きます。確かにInstagramなどは無料でアカウントを立ち上げられ、多くのフォロワーを獲得しているお店もあります。

しかし、具体的な施策を考える前に「お店のことを知って欲しい人は誰ですか?」という問いかけから始めることが大切です。例えば、ターゲット顧客が「近所に住む60代以上の方」なら、SNSよりも地域へのポスティングや店頭看板の方が効果的かもしれません。逆に「20〜30代の女性で、話題のお店を探している人」がターゲットなら、Instagramでの情報発信は有効な手段となります。

世の中の流れに乗ることも大切ですが、それ以上に「あなたがお店に来てほしい人は誰か」を明確にし、「その人たちが普段どのように情報を得ているか」を考えた上で最適な方法を選ぶこと、ここが販促を考える際の最初の一歩です。

お客様が来店するプロセスをイメージして施策を組み合わせる

「お客様が誰か」が明確になったら、次は①初来店、②店内体験、③継続来店という3つの段階をイメージしてみましょう。

  • ①初来店のための施策は、まだお店を知らない人に向けたものです。SNS、チラシ・ポスティング、屋外看板、飲食店情報サイトへの掲載などがあります。
  • ②店内体験を高める施策は、来店したお客様に「来て良かった」と思ってもらうための工夫です。メニューのわかりやすさ、注文のしやすさ、接客の質、お店の雰囲気などがこれに当たります。
  • ③継続来店を促す施策は、リピートしてもらうための仕組みです。割引券、ポイントカード、会員制度、ダイレクトメールなどがあります。

この3つの段階を意識することで「今、ウチのお店に足りないのはどの部分だろう?」と考えることができます。例えば「新規のお客様は来るけれどリピートしてくれない」なら③を強化する。「常連さんは多いけれど新規のお客様が少ない」なら①を見直す、といった形です。

実施する施策はPDCAを廻し、きちんと振り返りをする

実施した施策の効果については、きちんと検証することが大切です。P(Plan/計画)、D(Do/実行)、C(Check/振り返り)、A(Action/改善)というPDCAサイクルを廻しましょう。特に重要なのがCの「振り返り」です。

具体的には、チラシ配布後の来店客数の変化を記録する、お客様に「どこでお店を知りましたか?」と聞いてみる、SNSの反応を確認する、ポイントカードからリピート率を計算するなどの方法があります。こうした記録を取ることで、施策の効果を判断できるようになります。

考えた施策のすべてがうまくいくことはありません。しかし「うまくいかなかった経験」を振り返り「次に生かす」ことで、成功確率を高める財産になります。この「振り返る力」を育てることで、徐々に成果が実感できるようになっていくはずです。

 

お店を続けるためには「お客様が来店し続ける」ことが必要です。第15回から今回まで7回にわたって「マーケティング=売れるしくみづくり」の基本的な考え方をお伝えしてきました。ぜひ一度、今取り組まれている施策が自分のお店の基本戦略に合っているか見直してみてください。

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中小企業診断士

株式会社ワークライフスポーツ 代表取締役 稲垣秀行 事業者の方が「強く、やさしく、おもしろい」お仕事ができるよう、頭の中の整理から、事業計画の作成、その後のフォローまで伴走型でサポート。市役所の窓口相談では年間150者ほどの方からの経営相談を受けている。スポーツによる街の活性化がライフワーク。

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