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コラム

7.事業計画書の書き方 ①自己紹介ー中小企業診断士が語る、店舗事業者が知っておくべき基礎知識

前回までは、補助金申請や融資の際にも必要となる事業計画書についての概要をお伝えしてきました。今回からは、第4回でお伝えした事業計画書に書く4つの内容(自己紹介、現状分析、実施内容、各種計画)について、具体的にどのような内容を書いていくとよいか、より深くお伝えしていきたいと思います。今回は、「自己紹介」についてです。

はじめにー初めて会う人には、書類の上でも自己紹介をしましょう。

 日常生活や仕事の場面で、初めて会った人とは自己紹介をしますよね。事業計画書においても全く同じ考えで、計画書の最初は自己紹介から書き始めます。わかりやすさを意識して「自己紹介」と書いていますが、事業計画ですので「自社の事業概要を説明しましょう」ということになります。事業計画書における自己紹介は、以下の3点をまずは書くようにするとよいでしょう。

会社概要・経歴

 「会社概要」は、会社名や代表者、事業内容、所在地、従業員数、創業年月、主な取引先、金融機関、保有設備といった会社案内に記載するような内容を意味します。

 「会社経歴」は、創業から今日までの事業活動における主なできごとを年表の形で書き表しておくと、これまで会社がどのような変遷を辿ってきたのかがわかります。

経営理念

 経営理念は、①ミッション(当社の存在意義)、②ビジョン(当社が目指すもの)、③バリュー(当社が大切にすること)、といった言葉で表すことが多いです。「自分の事業にかける想いを言葉にしたもの」と言えますが、慣れていない方には難しいかもしれませんし、小規模事業者の方は特に考えたことがない、という方も多いと思います。

 その場合は、②ビジョンを「将来自分のお店をどうしていきたいと思っているか」、③バリューを「自分のお店はこういうことを大切にしている」について、日ごろ従業員の人に話をしているような内容があれば、文字として書き出してみるとよいと思います。

数値実績

 自己紹介の最後は、自社の売上や利益の実績を書きます。こちらは過去3期分ほどの決算書の数字を書き出すと、最近の会社の業績の推移も把握できます。最低限①売上高、②営業利益を示し、なぜそのような結果となったのか、理由についても文章で説明しておきましょう。

 特に業績が悪化している場合は、数字だけを見ると補助金の審査員や融資担当者は当然悪い印象となりますので、しっかりと説明をすることが大切です。

売上高は事業別・顧客別に分けて、売上高の内訳も見えるように

 また、できれば売上高については、①事業別(商品・サービス別)、②顧客別に分けて売上高の内訳が見えるようになっているとさらによいです。

 飲食店であればPOSレジを導入しているお店も多いと思います。こうしたお店であればPOSデータを利用することで、商品別の売れ筋ランキングなどが金額と共にわかると思います。

 一方で、飲食店で「顧客情報」を取得しているところは少ないかもしれません。必ずしも個人情報を取得する必要はありませんが、年代や性別だけでもわかる範囲で記録をしておくと役に立ちます。

 例えば「私のお店は、60代以上のお客様が全体の3分の1、20代の方が2割強です」だったり「60代の方には肉うどんセットが、20代の方にはトマトうどんが人気です」といった形で「①誰に、②何が売れているのか」と説明できると、お店の特徴がよりわかりやすくなります。

 

 この「自己紹介」のパートでは、「自分の事業のことを相手に正しく伝える」ための導入部分となりますが、「自分が自分の事業をきちんと知っている」でなければ、当然相手に伝えることはできません。まずは、自社のこれまでの取り組みについての「事実情報」を集め、その情報を整理して、文章としてまとめて書き出してみる、というところから始めてみてください。

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中小企業診断士 / 株式会社ワークライフスポーツ 代表取締役 稲垣秀行

事業者の方が「強く、やさしく、おもしろい」お仕事ができるよう、頭の中の整理から、事業計画の作成、その後のフォローまで伴走型でサポート。市役所の窓口相談では年間150者ほどの方からの経営相談を受けている。スポーツによる街の活性化がライフワーク。

  1. 7.事業計画書の書き方 ①自己紹介ー中小企業診断士が語る、店舗事業者が知っておくべき基礎知識

  2. 6.事業計画書づくりの強い味方、公的支援サービスを利用するー中小企業診断士が語る、店舗事業者が知っておくべき基礎知識

  3. 5.説得力のある事業計画書の作り方ー中小企業診断士が語る、店舗事業者が知っておくべき基礎知識

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