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コラム

5.説得力のある事業計画書の作り方ー中小企業診断士が語る、店舗事業者が知っておくべき基礎知識

前回は、事業計画書には何を書けばよいかについて、「自己紹介、現状分析、実施内容、各種計画」の4つに分けてまとめてみることをご紹介しました。今回は、融資担当者や補助金の審査員目線から見た時に、どのような点に着目したらよいかについて、ご紹介します。

計画書の内容への「なぜ?」に対する回答を~事業計画の”根拠”を書き記す

以前も書きましたが、融資担当者や補助金の審査員はあなたの事業のことを知りません。例えば新しくお店を出す際、物件を借りる費用の融資相談の場合、

「なぜ、あなたはその物件にしようと決めたのですか?」

という理由を聞かれたとします。その際に、あなたはどのように答えますか?
「よい物件だったので」はもちろん一つの答え方ですが、よい物件とは何を基準に「よい」とあなたが判断しているのか、その選定理由を事業計画書にあらかじめ書けていると、わざわざ質問されなくてもよくなりますね。

あなたが「知らない誰かにお金を貸す」ような場面があったらと想像してみてください。本当に貸してもよいかたくさんの質問を投げかけたくなると思います。事業内容を書くだけでなく、その内容についての「根拠」を合わせて書くよう意識してみましょう。

事業計画に書く内容を「やるとどうなるの?」~事業実施の”期待効果”を書き記す

もう1つの観点は、「やるとどうなるの?」。要は「いつまでに、どれだけ売上・利益が上げられますか?」に答えられていますか?ということです。

目指す目標が年間1,000万円か、1億円かは、特にどちらでも構いません。その目標を達成するために書かれている事業計画の内容を「数字に置き換えて考えることができているか?」という点が問われます。

売上高について「客単価800円で1日20人、月26日営業なので、800円×20人×26日=416,000円を月の売上目標にしています」というような説明ができるかどうか。原価や販管費についても必要な費用を計上できているか。過去のお店の売上実績などを元に、数字で説明できているかどうか、ここでは「期待効果」と呼ぶようにしますが、この点も確認してみましょう。

根拠と期待効果は、「事実」にもとづき客観的かつ論理的に書くことで「説得力」が高まる!

上に書いた2つ(根拠期待効果)は、「自分がこう思っているから」という理由では、中々理解が進みません。「自分が考えているだけでなく、世の中の信頼ある情報を探してみても、同じことを言っている」となると説得力が高まります。

例えば、(一社)日本フードサービス協会の公式サイトには「外食産業市場動向調査」という資料が公開されており、月度単位で売上高・店舗数・客数・客単価について飲食業態別の実績データを確認することができます。今の時代はインターネットで多くの情報を気軽に入手することが可能ですし、自ら駅前で交通量の調査をしたり、来てくれたお客様にアンケートをお願いしてネットでは見つけにくい情報を自ら集めることもできます。

主観ではなく「事実」にもとづいて計画が考えられていることを示せると、グッと説得力が高まります。

最後の1押しは主観的かつ感情的な、事業者としての「熱い想い」で「納得度」を高める!

ここまでは、少し堅苦しいお話になっていたかもしれません。しかし、こうして事業計画書の内容について「根拠」と「期待効果」を「客観的」かつ「論理的」に書こうとすることで説得力は段違いに上がります。最初は難しいかもしれませんが、ぜひ取り組んでみてください。

一方で、最後の最後でモノを言うのは、このコラムを読んでくれている事業者の皆さまの「熱い想い」が相手の心を揺さぶります。最後に真逆の話をするようですが、論理的なだけでもダメ。感情的なだけでもダメ。両方をうまく使い分けることが大切です。

 

とはいえ、「事業計画書を作るのは中々大変だ」と思われた方も多くいるかもしれません。次回は、事業計画書作成をサポートしてくれる公的なサービスや具体的な相談窓口についてご紹介します。

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中小企業診断士 / 株式会社ワークライフスポーツ 代表取締役 稲垣秀行

事業者の方が「強く、やさしく、おもしろい」お仕事ができるよう、頭の中の整理から、事業計画の作成、その後のフォローまで伴走型でサポート。市役所の窓口相談では年間150者ほどの方からの経営相談を受けている。スポーツによる街の活性化がライフワーク。

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