店舗訪問

【店舗訪問】濃いめの味つけでドリンク率をアップ 酔客に応える元SE店主の計算式(@荻窪)


静かな商店街の半地下の店に酒のピッチが進むメニューが並ぶ。計算し尽くされた厨房がその源。毎夜カウンターが埋まる「洋風赤提灯」のカウンターの向こう側をのぞくと――。

■ドリンク率アップの秘訣

「上品な味付けもいいけど、やっぱりジャンクなほうが酒は進むんですよ」
 酒好きを知る店主にしか言えない科白だろう。JR中央線・東京メトロ荻窪駅北口を出て5分ほど。昔ながらの商店街「ことぶき通り」の中ほどにある『ちょいバル GREAT SCOTT!』はこの2月で開業8年。17時開店後の18時前後から30代、40代の男女でカウンターが埋まり、人当たりの良い店主の三好利幸さん(55)が無駄のない動きで厨房を行き来して酒と料理をさばく。効率的なワンオペを可能にしているのは、自身の体格に合わせたサイズ感をデザイナーに伝えてカスタマイズした厨房だから。電機メーカーのシステムエンジニア(SE)として働いた20数年の経験と蓄積が店作りに表れる。
「飲み物中心だけどショットバーでもないバル的な店をやりたかった。よく出る料理はバファローウイングやフライドポテト、辛口のアラビアータ。しっかりと飲んでほしいので、濃い味付けのメニューを多めにしています」
 確かに8本ほどの手羽中が、にんにくを効かせて揚げられた人気商品バッファローウイングだけで生ビールが2杯、3杯と空いていく。三好さんによれば、サワーやハイボールなどは原酒をけちらないため、酒自体も他店より濃い目。客単価は3,000円台前半だが、それで十分に酔える。元SEの計算式にはまった常連客は数多い。

▲ガーリックを効かせたバッファローウイング(上写真)と「裏メニュー」の特大レモンサワー(下写真)

■40代半ばでSEから転身

 会社員時代から将来は飲食店をと考えていた三好さんが開業を決断したのは40代半ば。56歳の定年を一つの目安にしていたが、管理職として大きなプロジェクトを回していた47歳で会社の早期退職制度を利用して退社。住まいのある立川市から便の良い中央線沿線を中心に物件を探し、「駅からある程度離れた静かな環境で」という希望に合う現在の新築物件を見つけた。2017年2月の開業から9年目に入る今年が、会社にいればちょうど定年の歳。「この年齢で一から店を開くのはかなりしんどかったと思います。早めに決断してよかった」
 客層は30代から40代が主軸で女子率が7割。サラリーマン経験が長い三好さんなら悩みも話しやすいと会社員が集まる。業種も幅広く、カウンター同士で仕事の人脈も広がり、狭い店でありがちな常連の固定化やトラブルもほぼないという。

▲締めには辛さが選べるアラビアータ(上写真)か自慢のオーブンで焼き上げたグラタン(下写真)を

■意外な看板メニューの理由

 自分自身が好きなので、というグラタンは看板メニュー。「他では出せないものを」と考えた結果、家庭の味の定番で、外食にはあまりないメニューにたどり着いた。辛さを調節できるアラビアータとともに、最後の締めメニューとしてコンスタントに出る。
 常連からは「グレスコ」と呼ばれる店名は映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の登場人物の口ぐせで、「なんてこった!」の意。ジャンクっぽいメニューでも、しっかりと調理されていてもたれない。濃い目のドリンクとの相性も良く、杯が進んでも「なんてこった」にはならないので、シニアでもOK。経営は堅調で、視野に入れるのは2店舗目。ドリンク中心のコンセプトは変えずに、メニューに違いを加えたいと話す。
 店休の月曜日には別の職人が入り、SDGsを意識して魚介類の端材を生かした和食居酒屋 『sushi and …』に変身する二毛作の店でもある。店名も形態もユニークだが、落ち着いた雰囲気の荻窪に似合ったオトナな店だ。

▲半地下に収まるコンパクトで心地よい空間

◎店舗情報
店舗名:ちょいバル GREAT SCOTT!
住所:東京都杉並区天沼3-30-2 MMブランチ1F-A
電話:03-6383-2077
アクセス:JR中央線・東京メトロ荻窪駅北口から徒歩5分
営業時間:火~日:17時~23時 月:「sushi and …」も17時~23時
定休日:月
席数:15
禁煙
HP:www.choibaru.com

※「新宿生まれのクラフトビール」に関する記事は以下より

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