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【インボイスの基礎知識①】インボイス制度下での消費税の原則は不変。現在は「80%控除可能」の経過措置実施中


財務省は、2023年10月に開始された消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)に関し、事業者などから寄せられている質問、特に免税事業者やその取引先の対応に関する考え方をQ&A形式で紹介している。制度への理解を深めるために紹介する。

■インボイス制度開始から1年以上

 2023年10月に開始されたインボイス制度は現在、激減緩和の観点から経過措置期間にある。2026年10月までの3年間は「免税業者からの仕入れにつき80%控除可能」、その後、2029年10月までは「免税事業者からの仕入れにつき50%控除可能」。ただし、「仕入税額控除の適用にあたっては、免税事業者等から受領する区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等の保存と本経過措置の適用を受ける旨(8割控除・5割控除の特例を受ける課税仕入れである旨)を記載した帳簿の保存が必要」とされている。

免税事業者:基準期間(個人の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度)における課税売上高が 1,000 万円以下の事業者で、消費税の納税義務が免除される制度(事業者免税点制度)の適用を受ける事業者を指す。基準期間における課税売上高が 1,000 万円以下でも、所轄税務署長への事前届出により課税事業者となれる。

では、Q&Aを使って制度の理解を深めていこう。

■Q:インボイス制度が実施されて、何が変わりますか? 

 インボイス制度の実施後も、売上げに係る消費税額から、仕入れに係る消費税額を控除(仕入税額控除)し、その差引税額を納税するという消費税の原則は変わりません。
 また、インボイス制度の実施後も、簡易課税制度(注1)を選択している場合は、現在と同様、売上げに係る消費税額に一定割合(みなし仕入率)を乗じて仕入税額控除を行うことができます。一方、簡易課税制度を選択していない場合、仕入税額控除を行うためには、適格請求書(注2)(インボイス)の保存が必要となります。
 インボイスは、課税事業者が適格請求書発行事業者(注3)の登録を受けることで、発行できるようになります。課税事業者間の取引では、売手は現在使用している請求書等の様式に登録番号等を追加することなどが必要になり、買手(簡易課税制度を選択していない場合)は受け取ったインボイス及び帳簿を保存することで仕入税額控除を
行うことができます。
 また、インボイスには消費税率や消費税額が記載されるため、売手は納税が必要な消費税額を受け取り、買手は納税額から控除される消費税額を支払うという対応関係が明確となり、消費税の転嫁がしやすくなる面もあると考えられます。
 なお、インボイス制度実施に伴う事業者の対応として、インボイス制度の実施までに、適格請求書発行事業者となる売手では、端数処理のルールの見直しを含めた請求書等の記載事項やシステムの改修等への対応が必要となる場合があります。また、交付したインボイスの写しの保存等や、 仕入税額控除を行おうとする買手では、新たな仕入先が適格請求書発行事業者かどうかの確認や、受け取ったインボイスが記載事項を満たしているかどうかの確認が必要となる場合があります。このような事業者の対応に向けては、改正電子帳簿保存法の活用を図るほか、デジタル化の推進のための専門家派遣や IT の導入支援などを行います。なお、簡易課税制度を適用している事業者は買手としての追加的な事務負担は生じません。

免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A

(注1)基準期間(個人の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度)における課税売上高が 5,000万円以下の事業者について、売上げに係る消費税額に、業種ごとに定められた一定割合(みなし仕入率)を乗じることにより、仕入税額を計算する仕組みです。適用を受けるためには所轄税務署長への事前届出が必要となります。
(注2)現行制度において保存が必要となる区分記載請求書の記載事項に加えて「登録番号」、「消費税率」及び「消費税額等」の記載が必要となります。
(注3)インボイス制度が実施される令和5年 10 月1日から登録を受けようとする事業者は、原則として令和5年3月 31 日までに登録申請書を所轄税務署長に提出する必要があります。

※引用:https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/download/duty_invoice_s01.pdf

※「中小企業診断士に聞こう企画」に関する記事は以下より

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