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【インボイスの基礎知識⑪】2026年で終了する2割特例(軽減措置)をしっかりと理解していますか? ~前編~


2023年10月に開始された消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)には、インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置である2割特例がある。今回は2割特例の概要を紹介する。

■インボイスの保存不要

 2023年10月1日から導入された新しい消費税の仕組みがインボイス制度です。目的は、複数税率に対応し、事業者が消費税を正確に納めることとされている。また、インボイス制度では、適格請求書(インボイス)を発行し、保存することが求められ、事業者は仕入税額控除を受けるために適格請求書を保存しなければならない。インボイスがない場合、原則として仕入税額控除ができないが、今回紹介する2割特例と簡易課税制度では、受け取ったインボイスを保存しなくても仕入税額控除を受けられる。

(1)  インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になられた方については、仕入税額控除の金額を、特別控除税額(課税標準である金額の合計額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額の100分の80に相当する金額)とすることができます(いわゆる2割特例)(28改正法附則51の2①②)。

2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要
出典:国税庁

(2)  2割特例は、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になられた方が対象です。
 したがって、基準期間における課税売上高が1千万円を超える事業者の方、資本金1千万円以上の新設法人、調整対象固定資産や高額特定資産を取得して仕入税額控除を行った事業者の方等、インボイス発行事業者の登録と関係なく事業者免税点制度の適用を受けないこととなる場合や、課税期間を1カ月又は3カ月に短縮する特例の適用を受ける場合などについては、2割特例の対象とはなりません。
 なお、2割特例の適用ができない課税期間の詳細については、インボイスQ&A≪2割特例の適用ができない課税期間①≫(PDF/305KB)及び≪2割特例の適用ができない課税期間②≫(PDF/309KB)を参照してください。

(注1) 「基準期間」とは、個人事業者の場合はその年の前々年、事業年度が1年である法人の場合はその事業年度の前々事業年度のことをいいます。

(注2) 「事業者免税点制度」とは、基準期間における課税売上高が1千万円以下であることにより事業者の納税義務が免除される制度のことをいいます(消法9①)。これにより、納税義務が免除される事業者を免税事業者といいます。

2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要
出典:国税庁

(3)  2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間となります。

(4)  2割特例の適用に当たっては、事前の届出は必要なく、消費税の申告時に消費税の確定申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記することで適用を受けることができます(28改正法附則51の2③)。
 また、2割特例を適用して申告した翌課税期間において継続して2割特例を適用しなければならないといった制限はなく、課税期間ごとに2割特例を適用して申告するか否かについて判断することができます。

2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要

※次回は「期間」について解説する

出典:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/202304/01.htm

※「優越的地位の濫用」に関する記事は以下より

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