店舗の集客・開業支援メディアサイト

店舗訪問

地下に広がる8坪15席の「ほほ笑みの国」で本格タイ料理を楽しむ(@四ツ谷)


多くの事業者が二の足を踏む地下に多くが訪れるタイの楽園があった。四ツ谷のタイ料理店はデメリットを克服し、ロケ弁当との二毛作で理想の店舗を目指す。

■開店間もない店舗が閉店

 一見さんにすれば店内の雰囲気が分からず、常連にしても座れるのか分からない。地下店舗のデメリットは少なくないと言われる。四ツ谷駅と四谷三丁目駅の中間の裏通りに佇むタイ料理店は地下1階にあるが、扉の向こうにあるタイに魅了された人は多い。
 オーナーの天野剛さんは、新宿歌舞伎町のテナントBE-WAVEにあったレストランの店長だったころ、タイ音楽を主軸に各国の音楽を発掘&収集するユニットと自社イベントで出会って、タイの食事と文化に対する興味をそそられた。タイの人々の前向きな生き方に影響を受けたのだ。
 2020年にはBE-WAVE内でタイ料理の『ラブエイジア』をスタートさせたが、テナントが閉鎖。「このままでは終われない」と独立を決め、知り合いが多い新宿界隈で物件を探したが、条件が合わない。ようやく見つけたのが現在の店舗だ。地下であるために家賃を抑えられ、居抜きで初期投資も低くできた。
地下だけに集客が懸念されたが、不思議と不安はなかった。知り合いの来店に助けられながら、新規客を開拓。現在は、常連客の多いランチは3回転くらい。ディナーは数人で盛り上がるグループがあれば、1人客がカレーを食べてさっと帰ったり、つまみとお酒をオーダーしたりと多様な顧客がいる。好きな音楽色をあえて強めず、粘り強く「味」で勝負したことが功を奏した。

▲本格的なタイ料理。右上から時計回りにポピアソッド、パッタイ、カオマンガイ、グリーンカレー

■収入の柱に成長したロケ弁

 収入源の一つが、収入を確保するために始めた『ロケ弁』だ。出来立てを提供できず、相手の反応も見られないが、調味料や生ハーブ、調理法は変えず、冷めても味の輪郭がくっきり出るように趣向を凝らし、フタを開けた時にタイらしいトロピカルな雰囲気を醸し出せるように工夫した。今では、イベント関係や法人などから、1日に数百というオーダーも珍しくない。
 早朝3時に起きて数百の弁当を用意し、その後、実店舗をまかなうのは重労働だが、8坪15席の店舗なのに何百人もの人に食べてもらえるやりがいがある。

■タイの人々に学んだ生き方

 新型コロナウイルス禍は乗り越えたが、人件費、家賃、光熱費、原材料費の上昇、さらにはインボイス制度など、頭痛の種は尽きない。店舗営業を支えるためにもセントラルキッチンを借りてロケ弁部門を強化することも考えているが、苦楽を共にしてきた従業員が店を離れることになり、計画は練り直し中だ。
「いい人に出会えればいいのですが、人の問題は条件も含めてとても難しい」
 天野さんが理想とするのは、音楽も食事も雰囲気もよく、値段も高くない店舗。いろいろと助けてくれた人々に対する恩返しとして実現するため、同じような感覚の人を迎え入れようと厨房に立ち続ける。「マイペンライ」。どうにかなるさという意味の好きなタイ語が口ぐせだ。

▲オーナーの天野剛さん

◎店舗情報
店舗名:ラブエイジア四ツ谷
住所:東京都新宿区四谷2-9-15 サンサーラ四谷ビル B1
アクセス:JR四ツ谷駅より徒歩7分、東京メトロ丸の内線の四谷3丁目駅より徒歩10分
営業時間:月曜日〜土曜日/11:30〜15:00(LO14:30)&17:00〜23:00(LO22:30)
テイクアウト:月曜日〜土曜日/11:30〜14:30&17:00〜22:00
※時間外の対応も可能なので、電話で相談を
定休日:日曜日・祝日
※イベント出店などで上記以外に休日もあり
HP:https://loveasiatokyo.com/
SNS:https://www.instagram.com/loveasiayotsuya/(Instagram)

※「新宿育ちのホップでできたクラフト・ビール」に関する記事は以下より

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

RELATED

PAGE TOP